家計と資産作り

家を売るか迷ったら読むべきチェックリスト ― “まだ売ると決めていない”あなたが冷静に判断するために ―

こんにちは、4歳と7歳の男の子ママ、しずくです。

子育てや仕事に追われる毎日、ふと「この家、どうしようかな…」と考える瞬間、ありませんか?

子どもが大きくなって部屋が手狭に感じたり、逆に巣立っていく将来を想像したり。あるいは、転勤の辞令、ご近所とのこと、住宅ローンの負担…。きっかけは人それぞれだと思います。

「もしかして、今が売り時?」
「でも、売ったら後悔しない?」

私自身、最近NISAや資産運用を勉強し始めてから、「住まい」という一番大きな資産(そして負債でもある住宅ローン!)について、以前より真剣に考えるようになりました。

とはいえ、「家を売る」なんて、人生でそう何度も経験することじゃありません。高額な取引だからこそ、「まだ売ると決めていない」段階で焦って動くのは禁物。何から調べたらいいのか、誰に相談したらいいのか、迷ってしまいますよね。

この記事では、「家を売るか迷う」まさにそのタイミングで、一度立ち止まって冷静に考えるための「判断材料」をチェックリスト形式でまとめました。

勢いで動いて「あんなはずじゃなかった…」と後悔する前に。まずは「我が家の場合はどうなのか」を整理するところから、一緒に始めてみませんか?

「家を売るか迷う」タイミングと主な理由

「家を売るかどうか迷う」って、とても自然な感情ですよね。でも、その「モヤモヤ」の正体は、実はいくつかのパターンに分けられることが多いんです。まずは、多くの人がどんなタイミングで売却を考え始めるのか、その「きっかけ」を整理してみましょう。

転勤・住み替え・老朽化・ローン負担など、よくあるきっかけ

「家を売る」と一言でいっても、その背景にある理由は本当にさまざまです。まずは「あるある」なきっかけを見ていきましょう。ご自身がどれに近いか、当てはめてみてください。

【ライフスタイルの変化】

  • 転勤・転職: 急な辞令で引っ越しが必要になった。「単身赴任か、家族で引っ越すか…」その選択肢の一つとして浮上します。
  • 子どもの成長・独立: 「子どもが大きくなって部屋が足りない」「逆に子どもが独立して、夫婦2人では広すぎる」といった、家族構成の変化。うちも男の子2人が走り回るので、手狭感は年々増してます…。
  • 親との同居・介護: 実家の近くへの住み替えや、二世帯住宅への建て替えなどを検討するタイミング。
  • 離婚: 財産分与のために、持ち家をどうするか決める必要があるケース。

【経済的な理由】

  • 住宅ローンの負担: 「買った当初より収入が減った」「教育費が思ったよりかさむ」など、毎月の返済が家計を圧迫している場合。金利の動向も気になりますよね。
  • 住み替え(買い替え): 「もっと良い立地(駅近、学区など)に住みたい」「マンションから戸建てへ」など、ポジティブな理由での資金計画。

【建物・環境の理由】

  • 家の老朽化: 「修繕費がかさむ」「耐震性が心配」など、メンテナンスコストや安全面での不安。
  • 近隣トラブル: これはデリケートな問題ですが、どうしても解決が難しい場合の最終手段として考える方も。

「売りたい理由」が“後悔リスク”を左右する理由

さて、いくつかきっかけを挙げましたが、ここで大事なポイントがあります。それは、「なぜ売りたいのか?」という理由の“種類”によって、売却後の後悔のしやすさが変わってくる、ということです。

ちょっと整理してみましょう。

  • ポジティブな理由(例:より良い家への住み替え、資産整理)
    • 特徴: 売却が「目的」ではなく「手段」であるケースが多いです。
    • 後悔リスク: 比較的低い。
    • 理由: 新しい生活への期待が大きく、売却によって得られるメリット(新しい家の購入資金、生活の質の向上)が明確だからです。「いくらで売れたら、次はこれができる」という計算が立ちやすいんですね。
  • ネガティブな理由(例:ローン返済苦、転勤、離婚、近隣トラブル)
    • 特徴: 「売らざるを得ない」という状況や、「今の不満から逃れたい」という動機が強いです。
    • 後悔リスク: 比較的高い。
    • 理由: 本来は売りたくなかったのに、状況に迫られて売却を決断することが多いためです。焦りから「相場より安く売ってしまった」「もっと良い売り方があったのでは?」と後から感じやすい傾向があります。

もちろん、どちらが良い悪いではありません。

ただ、もし今あなたが「ネガティブな理由」で売却を迷っているなら、少しだけ慎重になる必要があります。

「早くこの状況から抜け出したい!」という気持ちが強いと、どうしても判断が「短期目線」になりがちです。不動産会社も「今が売り時ですよ」と背中を押してくるかもしれません。

でも、そんな時こそ「本当に今、この価格で売ってしまって大丈夫か?」「売った後、次の住まいはどうする?生活は成り立つ?」という長期的なシミュレーションが不可欠なんです。

まずはご自身の「迷っている理由」がどちらのタイプに近いか、客観的に見つめ直すことが、後悔しないための第一歩になりますよ。

売却のメリット・デメリットを冷静に比較しよう

家を売るかどうか迷っている時って、どうしても「売った後のスッキリ感」とか「売らなかった時の安心感」とか、感情的なメリット・デメリットに目が行きがちですよね。

でも、ここでしっかり天秤にかけるべきは、「お金」と「生活」の両面です。どちらか一方だけ見て決めると、後で必ず「あれ?」と思うことになります。

売却のメリット(資金化・維持費削減・生活リセット)

まずは、「家を売る」と決断した場合のメリットから見ていきましょう。大きく分けて3つの側面があります。

  1. まとまった資金が手に入る(資金化)
    何といっても最大のメリットはこれですよね。家という「不動産」が「現金」に変わります。
    • 住宅ローンの完済: まずは残っているローンを返済できます。毎月の返済から解放されるのは大きいですね!
    • 新しい生活の元手: 売却して利益(譲渡所得)が出れば、次の家の購入費用、子どもの教育資金、あるいは私自身が勉強しているNISAのような資産運用に回すこともできます。
    • 財産分与: 離婚などの場合は、現金化することで公平に財産を分けやすくなります。
  2. 維持費や税金の負担がなくなる(維持費削減)
    家って、持っているだけでお金がかかります。これは本当に実感します…。
    • 固定資産税・都市計画税: 毎年必ずかかってくる税金がゼロになります。
    • 修繕積立金・管理費(マンションの場合): これも毎月数万円単位で出ていく大きな固定費ですよね。
    • 火災保険・地震保険料: 年払いや長期払いで結構な金額になります。
    • 将来の修繕費(戸建ての場合): 外壁塗装や給湯器の交換など、10年〜15年単位で100万円以上の出費が見込まれる費用も、手放せば考える必要がなくなります。
  3. 生活の状況をリセット・最適化できる
    お金以外の面でも、生活そのものを変えるきっかけになります。
    • 通勤・通学の利便性向上: 会社の近く、実家の近く、希望の学区など、今のライフスタイルに最適な場所へ移れます。
    • 広さの最適化: 「子どもが増えて手狭だった」のが解消されたり、「夫婦2人には広すぎた」ムダがなくなったりします。
    • 人間関係のリセット: これは言いにくいことですが、もし近隣トラブルなどで悩んでいた場合、そこから離れられるという大きなメリットがあります。

売らない選択のメリット(住み慣れ・再取得コスト回避)

では逆に、「売らない(住み続ける)」という選択のメリットは何でしょうか。こちらも大事な視点です。

  1. 「住み慣れた環境」を維持できる
    これはお金には変えられない、非常に大きな価値ですよね。
    • 精神的な安心感: 「マイホームがある」という安心感、長年築いてきたコミュニティ(ママ友、ご近所さん)とのつながりは、失うと想像以上に大きいものです。
    • 子どもの環境を変えずに済む: これ、子育て世帯には最重要項目かもしれません。転校や転園が不要で、子どもが慣れ親しんだ友達と離れずに済みます。
  2. 売却や引っ越しにかかる諸費用を回避できる
    家を「売る」にも「買う」にも、大きなお金が動きます。
    • 売却時の諸費用が不要: 売る時には、仲介手数料(売却価格の3%+6万円+税 が上限)や登記費用、印紙税などがかかります。売却価格の5%〜7%程度が目安と言われることも。これが丸々かかりません。
    • 新居の購入費用・賃貸費用が不要: 当然ですが、売ったら次の住まいが必要です。新たに買うなら購入費用、借りるなら敷金礼金や毎月の家賃が発生します。
    • 引っ越し費用が不要: 家族が多ければ多いほど、引っ越し代も高くなりますよね。

判断に迷ったら「数字」で整理するコツ

「うーん、どっちも一長一短あって、ますます迷ってきた…」
そう感じた方も多いかもしれません。

感情(住み慣れ)と論理(お金)がぶつかり合うと、なかなか答えは出ません。

そんな時こそ、判断基準を「数字(お金)」に揃えて書き出してみるのがおすすめです。感情はいったん横に置いて、家計のプロになったつもりで計算してみましょう。

【比較シミュレーションの例(今後10年間で比較)】

比較項目 A:売却した場合 B:売らなかった場合(住み続けた場合)
支出(マイナス) ・売却諸費用 (仲介手数料など)
・新居の初期費用 (敷金礼金 or 購入諸費用)
・(賃貸の場合)10年分の家賃総額
・(購入の場合)新居のローン返済総額
・(購入の場合)新居の固定資産税など
・10年分のローン返済総額
・10年分の固定資産税
・10年分の管理費・修繕積立金
・(見込まれる)修繕費 (給湯器交換など)
収入(プラス) 家の売却価格
・(住宅ローン控除 ※新居購入時)
(特になし)
10年後の手残り (Aの収入)-(Aの支出) (Bの収入)-(Bの支出)

※あくまで簡易的な例です

どうでしょうか。
このシミュレーションで一番重要なのに、今一番わからない数字がありますよね。

そう、「A:売却した場合」の「家の売却価格」です。

ここがわからないと、そもそも比較のスタートラインに立てません。

「売ったらローンを完済できるのか?」
「売ってもマイナス(残債)が出るのか?」
「プラスが出るなら、いくら手元に残るのか?」

これがハッキリしない限り、感情論だけで「売る」「売らない」を決めることになってしまいます。

売却のメリット・デメリットを具体的に比較検討するためにも、まずは「もし今売ったらいくらになるのか?」という「相場」を知ることが、次のステップとして非常に重要になってくるんです。

売却を考える前にチェックすべき3つの現実

「家を売る」と決断するのは、ものすごく大きなエネルギーを使いますよね。だからこそ、動き出す前に「知っておくべき現実」があります。

特に「お金」と「時間」。この2つを甘く見ていると、「こんなはずじゃなかった…」という後悔につながってしまいます。ここでは、最低限チェックすべき3つのポイントに絞って解説しますね。

住宅ローンの残高と現在の相場を確認

まず、一番最初にやるべきことです。これは絶対に外せません。
「今の家の売却相場」と「今の住宅ローンの残高」を比べること。
これによって、あなたの家が「アンダーローン」か「オーバーローン」かが分かります。

  • アンダーローンとは?
    「売却相場」が「ローン残高」を上回る状態。
    (例:相場 3,000万円 > ローン残高 2,500万円)
    → この場合、売却してローンを完済しても、手元に500万円(※諸費用除く)が残る計算になります。売却のハードルは低く、次のステップ(住み替えなど)に進みやすい状態です。
  • オーバーローンとは?
    「売却相場」が「ローン残高」を下回る状態。
    (例:相場 2,800万円 < ローン残高 3,000万円)
    → この場合、家を売却してもローンを返しきれず、不足分の200万円を「自己資金(貯金など)」で一括返済する必要があります。

これがなぜ重要かというと、原則として「住宅ローンを完済できる見込み」がなければ、家は売れないからです。(※抵当権の抹消という手続きが必要なため)

もしオーバーローン状態で、「不足分を払う貯金もない…」となると、そもそも「売る」という選択肢が取れない可能性が出てきます。

「うち、買った時より値上がりしてるって聞くし、たぶん大丈夫でしょ!」
そんな風に楽観視するのはとても危険です。

まずは、ローン契約時に送られてきた「返済予定表」や、金融機関のWEBサイトで、「今、ローンがあといくら残っているか」を正確に把握すること。そして、それと「相場」を比べること。
これが判断のスタートラインです。

売却にかかる諸費用・税金を知る

次に知っておくべき現実。それは、「売却価格=手取り額ではない」ということです。

私もNISAや投資を勉強して「手数料」の大切さを痛感していますが、不動産売却は、その手数料がとんでもなく大きいんです…!

家を売るためには、さまざまな「諸費用」や「税金」がかかります。一般的に、売却価格の5%〜7%程度が目安と言われることもあります。(例:3,000万円で売れたら、150万円〜210万円!)

具体的にどんなものがあるか、ざっくり見てみましょう。

費用・税金の種類 内容 目安
仲介手数料 不動産会社に支払う成功報酬(これが一番大きい) (売却価格の3% + 6万円)+ 消費税 が上限
印紙税 売買契約書に貼る印紙代 売却価格により数千円〜数万円
登記費用 ローン完済に伴う抵当権抹消など 数万円程度
その他 ハウスクリーニング代、測量費(戸建て)など 必要に応じて
税金(譲渡所得税) 売却して利益が出た場合のみ かかる税金 利益(譲渡所得)に対して課税(※特例あり)

特に注意したいのが、最後の「譲渡所得税」。
「え、売って利益が出たら税金取られるの!?」と驚くかもしれませんが、その通りなんです。

ただし!マイホーム(居住用財産)を売る場合は、「3,000万円の特別控除」という非常に強力な特例があります。
ざっくり言うと、「売却益が3,000万円までなら税金はかかりませんよ」という制度です。

(計算式:売却価格 −(取得費+売却諸費用)= 譲渡所得)
この譲渡所得がプラスでも、3,000万円以下ならOKということです。

とはいえ、仲介手数料などの「諸費用」は、利益が出ても出なくても(たとえオーバーローンでも)必ずかかります。

「売却価格 3,000万円 − ローン残高 2,800万円 = 200万円残る!」
と喜んでいても、そこから諸費用(例:120万円)が引かれると、実際の手取り額は80万円だった…というケースはザラにあります。

この「手取り額」を計算に入れないと、次の家の資金計画が大きく狂ってしまいます。

売却完了までの期間と生活スケジュールを把握

最後の現実は「時間」です。
「家を売る」と決めても、明日いきなり売れるわけではありません。

不動産売却は、一般的に「査定」から「引き渡し(売却完了)」まで、早くても3ヶ月、平均すると6ヶ月程度かかると言われています。

【売却にかかる時間の流れ(目安)】

  1. 査定・不動産会社選び(約1〜4週間)
    … 複数社に査定を依頼し、どこに任せるか(媒介契約)決める。
  2. 販売活動(約1〜3ヶ月)
    … SUUMOなどに掲載、内覧(購入希望者の見学)対応。
  3. 売買契約・ローン審査(約1ヶ月)
    … 買い手が見つかり契約。買い手が住宅ローンの審査を受ける期間。
  4. 決済・引き渡し(約1ヶ月)
    … 買い手のローン審査が通ったら、お金を受け取り、鍵を渡す。

これ、結構長く感じませんか?
もしあなたが「子どもの入学(4月)までに引っ越したい」とか「転勤(9月)に間に合わせたい」という期限がある場合、半年前には動き出さないと間に合わない可能性があるんです。

「まだ売るか迷ってるし…」と先延ばしにしていると、いざ「売る!」と決めた時に、「時間がない!」と焦ることになります。
焦ると、どうなるか?
「希望価格より安くしないと売れない(値下げ交渉に応じるしかない)」
「内覧の準備が雑になる」
といった悪循環に陥り、結果的に損をしてしまうんです。

「迷っている」今だからこそ、もし売るとしたらいつまでに完了したいのか、そのためにはいつまでに動き出す必要があるのか、という「時間軸」もリアルに考えておく必要があります。

売却の全体像:査定から引き渡しまでの流れ

「家を売る」となったら、具体的にどんな手順を踏むのでしょうか。売主(私たち)が何をすべきか、という視点で全体の流れを追ってみましょう。専門用語も出てきますが、ここでは「ふーん、そういう流れなんだ」とイメージを掴んでもらえればOKです!

査定 → 媒介契約 → 販売活動 → 売買契約 → 引き渡し

不動産売却の大きな流れは、この5ステップで進んでいきます。

Step 1. 査定 & 不動産会社選び

  • やること: 「この家、いくらで売れそう?」をプロ(不動産会社)に査定してもらいます。
  • ポイント: ここが全ての始まりです。前の章でお話しした「ローン残高」と比べるためにも、正確な査定額が必要ですよね。机上査定(簡易査定)と、実際に家を見てもらう「訪問査定」があります。「売る」ことを少しでも考えているなら、訪問査定でしっかり見てもらうのが基本です。そして、この段階で「どの会社に売却をお願いするか」というパートナー選びも同時に行います。

Step 2. 媒介契約(ばいかいけいやく)

  • やること: 「この会社に売却活動をお願いします!」と正式に契約を結びます。
  • ポイント: ちょっと難しい言葉が出てきましたね。「媒介契約」には3種類(一般・専任・専属専任)あり、それぞれ「複数社に同時に頼めるか」「自分で買い手を見つけてもOKか」などのルールが違います。ここは担当者としっかり相談して、ご自身の状況(早く売りたいのか、高く売りたいのか)に合わせて選ぶ必要があります。

Step 3. 販売活動

  • やること: いよいよ「売り」に出ます。不動産会社がSUUMOやHOME'Sといったポータルサイトに物件情報を掲載したり、チラシを撒いたりして、買い手を探します。
  • 売主がやること: このステップで一番頑張るのが「内覧対応」です。購入希望者さんが実際に家を見に来るので、家をキレイに掃除したり、明るく見せたり、質問に答えたりします。住みながら売る場合は、週末ごとに内覧、ということも。ここは家族の協力が不可欠ですね!

Step 4. 売買契約

  • やること: 買い手が見つかり、価格や引き渡し日などの条件交渉がまとまったら、「売買契約」を結びます。
  • ポイント: この時、買い手から「手付金」(売却価格の5%〜10%程度)を受け取ることが多いです。重要事項説明など難しい書類もたくさん出てきますが、不明点は必ず不動産会社に確認しましょう。

Step 5. 決済・引き渡し

  • やること: 契約から約1ヶ月後(買い手のローン審査などが終わった後)、最終日を迎えます。
  • ポイント: 銀行などで、買い手から売却代金の残り全額を受け取ります。そのお金で、私たちは「住宅ローンの残高」を一括返済します。そして、家の鍵を買い手に渡して、すべて完了!お疲れ様でした!…となります。

1社任せにしないほうがいい理由(複数査定の重要性)

さて、この5ステップを見て、どこが一番重要だと思われましたか?

もちろん全部大事なのですが、後悔しないために絶対に失敗してはいけないのが、最初の「Step 1. 査定 & 不動産会社選び」です。

「面倒だから、近所の不動産屋さんに全部お任せしちゃおう」
「昔、家を買った時の担当者にそのまま頼もう」

その気持ち、すっごく分かります。私もできれば手間は最小限にしたい派です。
でも、不動産売却において、「1社だけにしか相談しない」のは、実は一番のリスクなんです。

なぜか?理由は大きく2つあります。

  1. その「査定額」が本当に正しいか分からないから
    不動産の価格には「定価」がありません。A社は「3,000万円が妥当です」と言い、B社は「いや、3,200万円でも売れますよ」と言うことも、C社は「2,800万円で早く売りましょう」と言うことも、普通にあります。
    1社だけの査定額を鵜呑みにすると、「本当はもっと高く売れたはずなのに、安く売ってしまった…」という最大の後悔につながりかねません。
  2. 悪質な「囲い込み」にあうリスクがあるから
    これはちょっと怖い話ですが…。不動産会社の中には、売主から「売却」を任された物件を、他の不動産会社に紹介せず、自社で見つけた買い手とだけ契約させようとする会社がいます(これを「囲い込み」と言います)。
    なぜそんなことをするかというと、売主と買主の両方から「仲介手数料」をもらえて、会社が一番儲かるからです。
    これ、売主にとっては最悪ですよね。もっと高く買ってくれるかもしれない他のお客さんを、知らぬ間に逃されている可能性があるんですから。

こんなリスクを避けるために、私たち売主ができる唯一の対抗策が、「複数の会社に査定を依頼し、比較する」ことなんです。

複数の会社の査定額や、販売戦略(どうやって売ってくれるか)、そして何より「この担当者さん、信頼できるか?」という相性を見比べる。

「売る」と決めていなくても、「迷っている」段階だからこそ、この「複数社に聞く」という視点が、あなたの家という大切な資産を守る「お守り」になるんですよ。

迷っている今こそ「相場」を知っておくべき理由

ここまで読んでくださった方は、「売却にはお金も時間もかかる」「パートナー(不動産会社)選びが重要」という現実が見えてきたと思います。

そして、そのすべての土台になるのが「我が家は、今いくらなのか?」という相場観です。

「相場を知る=判断軸を持つ」ことになる

「家を売るか迷う」理由って、突き詰めると「判断材料が足りないから」なんですよね。

  • 「売ったら、ローンを返せる?」
  • 「売ったら、いくら手元に残る?」
  • 「今売るのと、5年後に売るの、どっちが得?」

こうした不安はすべて、「今の家の価格」が分からないことから来ています。

逆に言えば、「我が家は今、約3,000万円で売れそうだ」という具体的な数字(=相場)が分かれば、どうでしょう?

  • ローン残高(2,500万円)と比較して、「あ、売っても500万円(諸費用引いて350万円くらい?)は残るんだ」と分かる。
  • そのお金があれば、「新しい家の頭金にできるな」とか「子どもの教育費に回せるな」と、次の計画が具体的に立てられる。
  • あるいは、「3,000万円か…ローン残高(3,100万円)に足りない。じゃあ今は売るべきじゃないな」と、「売らない」という積極的な決断ができる。

そう、相場を知るというのは、「売るため」だけにするんじゃないんです。「売るか・売らないか」を冷静に判断するための、「客観的な判断軸」を持つためにやるんです。

私自身、NISAや投資の勉強をしていて痛感しますが、自分の資産が今いくらの価値があるのかを把握しないまま、次の行動(買う・売る・持ち続ける)を決めるのは、すごく怖いこと。
家は、私たちの持つ資産の中で一番大きなものです。その価値を知っておくのは、家計を守るママとして、とても大切なことだと思いませんか?

無料で複数社の査定を比較できるサービスの活用法

「相場を知るのが大事なのは分かった。でも、やっぱり面倒!」

そうですよね。H2-4で書いたように、リスクを避けるには複数社に聞くのが鉄則。でも、自分でA社、B社、C社…と電話してアポを取るのは現実的じゃありません。

そこで活用したいのが、「不動産一括査定サービス」です。

これは、ネット上で自分の物件情報(広さ、築年数、住所など)を一度入力するだけで、そのエリアに対応できる複数の不動産会社に、まとめて「査定依頼」を出してくれる無料のサービスです。

これを使うと、私たちがやることは「1回の入力」だけ。
あとは、複数の不動産会社から「うちなら、これくらいの価格で売れると思いますよ」という査定額が送られてくるのを待つだけなんです。

HOME4Uのような中立的サービスをどう使うか(紹介パート)

こうした一括査定サービスにも、実は色々あります。
その中でも、私が注目しているのは「HOME4U(ホームフォーユー)」のような、運営歴が長くて信頼できる中立的なサービスです。

なぜ「中立的」かというと、HOME4U自体が不動産会社ではない(NTTデータグループが運営している)からです。彼らは「A社で売れ」とか「B社がおすすめ」とは言わず、あくまで私たちユーザーと、提携している不動産会社(大手から地元密act型まで様々)とを「マッチングさせる場」を提供してくれているだけなんですね。

【一括査定サービスの賢い使い方(迷っている人向け)】

  1. 「訪問査定」まで依頼してみる
    入力時に「机上査定(簡易査定)」か「訪問査定(現地確認)」かを選べるサービスが多いですが、もし少しでも売却の可能性があるなら「訪問査定」をおすすめします。結局、家を実際に見てもらわないと、正確な価格は出ません。「日当たりが良い」「室内がキレイ」といったプラス要素も、訪問査定じゃないと評価されにくいんです。
  2. 査定額の「根拠」を聞く
    複数の会社から査定額が出揃ったら、その数字だけを見て「一番高い会社に!」と飛びつかないでください。
    大切なのは「なぜ、その金額なんですか?」という根拠です。「最近、近所で売れた似たような物件が〇〇円だったから」「このエリアは今、こういう理由で人気だから」と、素人の私たちにも分かるように説明してくれる会社が、信頼できるパートナー候補です。
  3. 「まだ売ると決めていません」とハッキリ伝える
    これ、一番大事です!
    査定を頼むと、もちろん不動産会社からは「どうしますか?売りませんか?」と連絡が来ることがあります。
    その時に、「いや、まだ売るかどうかの判断材料として相場を知りたいだけなので」と正直に伝えればOK。
    しつこい営業を心配する方もいますが、優良な会社ほど「なるほど、では〇〇様のごタイミングでまたご相談ください」と引いてくれるものです。(逆に、そこで強引な会社は、そもそもパートナー候補から外せばいいだけですよね)

「売るか迷う」というモヤモヤした段階で、やみくもに不動産屋さんに飛び込むのは勇気がいります。
でも、HOME4Uのような中立的なサービスを「フィルター」として一枚挟むことで、私たちは「営業される」というストレスを最小限にしながら、一番知りたい「客観的な判断材料(=複数社の査定額)」だけを、効率よく手に入れることができるんです。

迷っている今だからこそ、まずはこの「判断材料」を集めることから始めてみませんか?

(※ここでHOME4Uのアフィリエイトリンクを設置する想定)

まとめ|「今すぐ売る」よりも「今を知る」ことから始めよう

お疲れ様でした!「家を売るか迷う」というモヤモヤした状態から、今チェックすべきことまで、一通り確認してきました。

ここまで読んでくださって、「やっぱり家を売るって大変そう…」「考えることが多すぎる…」と、ちょっとお腹いっぱいかもしれませんね。

でも、それでいいんです。
「家を売る」なんて、それくらい重い決断なんですから。

大切なのは、「今すぐ売る」と焦って決めることではありません。
「なんとなく不安」というモヤモヤの正体をちゃんと突き止めて、「我が家の“今”を知る」ことです。

【家を売るか迷ったら…まずやるコト】

  1. 「なぜ迷うのか」理由を書き出す
    (ポジティブな理由? ネガティブな理由?)
  2. 「ローン残高」を正確に把握する
    (あと、いくら残ってる?)
  3. 「今の相場」を調べる
    (もし今売ったら、いくらになりそう?)

この3つ、特に「ローン残高」と「今の相場」という「数字」が揃って初めて、私たちは「売る」「売らない」の土俵に立てます。

  • 相場がローン残高を上回る(アンダーローン)なら、「売る」という選択肢が現実的になります。
  • 相場がローン残高を下回る(オーバーローン)なら、「今は売らない方がいいかも」「売るなら頭金が〇〇円必要」という具体的な判断ができます。

「売るか迷う」というのは、例えるなら「地図もコンパスも持たずに、どっちに進むか悩んでいる状態」と似ています。
不安で当たり前ですよね。

まずは、コンパス(=ローン残高)と、現在地(=家の相場)を把握すること。
それが、後悔しないための第一歩です。

不動産一括査定サービスは、「売る」と決めた人だけが使うものではありません。
「売らない」という決断をするために、あるいは「今はまだ時期じゃない」と納得するために、「我が家の現在地」を知る道具として、賢く利用するのがおすすめです。

大きな決断だからこそ、感情や勢いだけで動かずに、まずは「数字」という客観的な判断材料を集めて、家族みんなで「我が家にとってのベスト」を考える時間を作ってみてくださいね。

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