そだてる暮らし

子どもがゲームばかり…やめさせる前に親が知っておきたい大切なこと

「もう、またゲームばっかりして!」

夕飯の支度をしながら、リビングで夢中になってコントローラーを握る7歳の長男の背中を見て、ついそんな言葉を飲み込んでしまうこと、ありませんか?

私もそうです。宿題は終わったの?明日の準備は?と聞きたいことは山ほどあるのに、画面の中の世界に没頭している我が子を見ると、なんだかモヤモヤした不安が胸に広がります。「このままで将来大丈夫なのかな」「勉強についていけなくなるんじゃないか」……そんな心配が頭をよぎるんですよね。

でも、ちょっと深呼吸してみましょう。
もし今、お子さんのゲーム時間のことで悩んでいるとしたら、それは決してあなたが「厳しすぎる親」だからでも、お子さんが「ダメな子」だからでもありません。むしろ、「子どもの将来を真剣に考えているからこそ、悩んでいる」という証拠です。

叱って無理やり取り上げるのは簡単ですが、それではお互いに心が疲弊してしまいますよね。
今回は、つい感情的になりがちな「ゲーム問題」について、少し視点を変えて、「なぜそんなに夢中になるのか」「親としてどう向き合えばいいのか」を、私と一緒に整理してみませんか?

なぜ子どもはこんなにゲームに夢中になるのか

大人が見ると「ただの遊び」「時間の無駄」に見えてしまうゲームですが、子どもたちにとっては、私たちが想像する以上に「大きな意味」を持っています。まずは、敵(ゲーム)を知る前に、子どもの心の中で起きていることを覗いてみましょう。

今の子どもにとってのゲームの位置づけ

私たち親世代(昭和・平成初期生まれ)にとって、遊び場といえば公園や空き地でしたよね。でも、現代の子どもたちにとって、オンラインゲームのフィールドは「放課後の公園」そのものです。

学校が終わって家に帰ってきても、オンライン上で友達と待ち合わせをして、「今日はあそこで遊ぼうぜ!」と冒険に出かける。そこは単なる仮想空間ではなく、リアルな人間関係が存在する「居場所」になっています。ここを取り上げられることは、子どもにとって「友達の輪から外されること」と同義の恐怖や寂しさを感じることでもあるのです。

ゲームが「楽しい」だけでは終わらない理由

ゲームが子どもを惹きつけるのは、単に映像が綺麗だからではありません。そこには、人間の心理を巧みに突いた「成功体験のループ」が設計されているからです。

  • 明確な目標: 「ここに行け」「これを倒せ」とやるべきことがはっきりしている。
  • 即座のフィードバック: 行動すればすぐに「正解」「失敗」の結果が出る。
  • 適度な難易度: 頑張ればクリアできる絶妙なバランス。

現実世界(勉強やスポーツ)では、頑張ってもすぐに結果が出るとは限りませんよね。でもゲームなら、努力が数分、数十分で報われます。この「やった!できた!」というドーパミンが出る感覚が、子どもの脳を強烈に惹きつけているのです。

友達・承認・達成感が揃っている世界

7歳や小学校高学年くらいになると、「誰かに認められたい」という承認欲求が強くなります。
ゲームの中では、強い装備を持っていたり、難しいステージをクリアしたりすることで、「すげー!」「ありがとう!」と仲間から感謝され、一目置かれます。

勉強や運動が苦手な子でも、ゲームの中ではヒーローになれる。この「自己効力感(自分はできるんだという感覚)」を得られる場所が、たまたまゲームだったというケースも少なくありません。

親世代との感覚ギャップが生まれる背景

ここまでの話を整理すると、親と子どもの間には決定的な「認識のズレ」があることがわかります。

親の認識 子どもの認識
単なる暇つぶし・遊び 大切なコミュニティ・居場所
勉強の邪魔をする敵 自分の能力を発揮できる場所
受動的な娯楽(テレビと同じ) 能動的な挑戦(スポーツに近い)

私たちが「テレビばかり見てないで」と叱る感覚で接してしまうと、子どもは「僕の大事な世界を否定された」と感じてしまいます。まずはこのギャップがあることを知っておくだけでも、カッとなった時のブレーキになるはずです。

「ゲームばかり=将来が不安」と感じるのは自然なこと

子どもの気持ちはわかった。でも、親として不安が消えるわけではありませんよね。「そうはいっても、やるべきことをやっていないじゃない!」と言いたくなる気持ち、痛いほどわかります。
ここでは、私たち親が抱える「不安の正体」について、少し冷静に分解してみましょう。

親が不安になる典型的な理由

ママ友と話していても、ゲームに関する悩みは尽きません。私たちが漠然と抱えている不安は、大きく分けると以下の3つに集約されることが多いようです。

  1. 健康面への懸念: 視力の低下、姿勢の悪化、睡眠不足。
  2. 学習面への遅れ: 宿題をやらない、授業についていけなくなる恐怖。
  3. 社会性への疑問: リアルなコミュニケーションが希薄になるのではないか。

これらは親として当然の愛情からくる心配です。決してあなたが過保護なわけではありません。

勉強しない=将来詰む、という思い込み

特に強いのが「勉強時間の減少」に対する恐怖です。
私たち親世代は、「いい学校に入って、いい会社に入れば安泰」という価値観の中で育ってきました。そのため、「ゲーム時間が増える=勉強時間が減る=将来の選択肢がなくなる」という図式が無意識に頭の中で出来上がってしまっています。

しかし、冷静にデータを見てみると、必ずしも「ゲーム時間が長い子=成績が悪い」という相関関係だけではないという研究結果も出ています。問題なのはゲームそのものではなく、「メリハリがつけられない生活習慣」の方にあることが多いのです。

周囲の目・比較が不安を大きくする

「〇〇くんは、もう中学受験の塾に通い始めたらしいよ」
そんな話を聞くと、焦りを感じませんか?

他のお家の子どもが習い事や勉強に励んでいる中、我が子はソファで寝転がってゲーム……。このギャップを見ると、「親としての管理能力」が問われているような気がして、余計にイライラしてしまうのです。自分の不安を解消するために、子どもに強く当たってしまう。これは、真面目なママほど陥りやすい罠です。

不安が強いほど対応が厳しくなりがちな現実

不安が大きくなると、どうしてもコントロールしたくなります。
「1日30分まで!」「破ったら没収!」とルールを厳しくしがちですが、不安ベースで作ったルールは、得てして「親の安心のためのルール」になりがちです。

子どもは敏感なので、「僕のためじゃなくて、お母さんが安心したいだけでしょ?」と無意識に感じ取ります。これが、次にお話しする「反発」の引き金になってしまうのです。

ゲームを無理にやめさせた場合に起きやすいこと

不安だからといって、コンセントを抜いたり、ゲーム機を隠したり……。強硬手段に出たことがある方もいるかもしれません(正直に言うと、私もカッとなってやったことがあります……反省)。
でも、無理やりやめさせるという「北風」のアプローチは、残念ながら逆効果になることが多いのが現実です。

反発・隠れてやるようになるケース

「禁止」は、かえって執着を生みます。心理学では「カリギュラ効果」と呼ばれますが、人間は禁止されると余計にその行為をしたくなる生き物です。

家で禁止されれば、友達の家に入り浸ってやるようになります。親の目が届かない場所でやるようになると、どんなゲームをしているのか、誰と繋がっているのかが全く把握できなくなります。さらに、「親に嘘をつく」という行動が常習化してしまうのが一番怖いリスクです。

親子関係がギクシャクするリスク

子どもにとってゲームは「大切な居場所」だとお話ししました。それを一方的に奪う親は、子どもから見れば「敵」認定されてしまいます。

「お母さんは僕の好きなことをわかってくれない」
一度このレッテルを貼られてしまうと、ゲーム以外の話題(学校のことや友達の悩みなど)も相談してくれなくなります。たかがゲーム、されどゲーム。信頼関係の土台にヒビが入ってしまうのです。

「好き」を否定された子どもの心理

大人に置き換えてみてください。あなたが大好きな趣味や、推し活、あるいは息抜きのドラマ鑑賞を、夫から「そんなの無駄だから捨てなよ」と言われたらどう思いますか?
「私の人格まで否定された」と感じて、悲しくなったり、怒りが湧いたりしますよね。

子どもも同じです。好きなものを否定されることは、自分自身を否定されること。自己肯定感が下がり、「どうせ自分なんて」と無気力になってしまう可能性すらあります。

短期的にやめても長続きしない理由

恐怖や権力で一時的にゲームをやめさせることは可能です。でも、それは「納得」していないので、親が見ていない隙を常に伺うようになります。

大切なのは、「ゲームがないから勉強する」という消去法ではなく、「ゲームも楽しいけど、他のことも面白い」という自発的な興味を育てること。無理やりな剥奪は、その芽を摘んでしまう行為かもしれません。

「やめさせる」以外の選択肢を持つという考え方

ここまで読んで、「じゃあ、どうすればいいの? 放っておけばいいの?」と思われたかもしれません。もちろん、無制限にやらせ放題にするのが正解ではありません。
大切なのは、「禁止(やめさせる)」か「放置」かの0か100かではなく、「付き合い方をマネジメントする」という第3の道を探ることです。

ゲーム=悪と決めつけない視点

まず、私たち親の中にある「ゲーム=悪」というフィルターを一度外してみましょう。
今やeスポーツはオリンピック種目になるか議論されるほどの競技ですし、ゲームクリエイターは子どもたちの憧れの職業です。

包丁と同じで、使い方が悪ければ人を傷つけますが、正しく使えば素晴らしい料理が作れます。ゲームも「毒」にするか「薬」にするかは、使い方次第。「悪いものだから排除する」のではなく、「強力なツールだからこそ、使い方を教える」というスタンスに切り替えるだけで、子どもへの声かけが変わってきます。

好きなことを起点に学びにつなげる発想

ゲームの中には学びの要素がたくさん詰まっています。

  • マインクラフト: 空間図形、建築、論理回路の基礎。
  • RPG: ダメージ計算(算数)、物語を読む力(国語)、お金の管理。
  • 歴史シミュレーション: 戦国武将や世界の歴史への興味。

「そんなにマイクラが好きなら、もっとすごい建物を作るにはどうすればいいか調べてみようか?」と、攻略本を読ませたり、YouTubeの解説動画を見て研究させたりするのも立派な「自ら学ぶ姿勢」のトレーニングになります。好きを入り口にすれば、子どもは驚くほどの集中力を発揮します。

親が管理するより「環境」を整える

「もうやめなさい!」と毎日ガミガミ言うのは、親にとってもストレスですよね。
それなら、システムに頼ってしまいましょう。Nintendo Switchの「みまもり設定」やスマホのフィルタリング機能を活用して、物理的に時間が来たら切れるようにするのも一つの手です。

ただし、これを親が勝手に設定するのはNG。「お母さんが意地悪で消した」と思われてしまいます。そうではなく、「約束の時間になったら自動でスリープする機能があるから、これを使えばお互い喧嘩しなくて済むね」と、親代わりのシステムとして導入するのがポイントです。

ルール作りで大切なポイント

ルールを決める時、一番大切なのは「子どもと合意形成すること」です。
一方的に「1日1時間!」と通告するのではなく、「宿題とお風呂が終わってからなら、何分くらい必要?」「もし約束を破っちゃったら、どういうペナルティなら納得できる?」と話し合いましょう。

自分で決めたルールなら、子どもも守ろうとする意識が働きます(もちろん、それでも破るのが子どもですが……苦笑)。それでも、「自分で言ったことだよね?」と言えるのと言えないのでは、納得感が全く違います。

ゲーム好きな子の特性は、伸ばし方で変わる

最後に、少しポジティブな話をしましょう。
ゲームに夢中になれる子は、裏を返せば「ものすごい集中力」と「探究心」を持った原石かもしれません。そのエネルギーを、ただ「消費」するだけでなく「創造」に向けることができたら?

集中力・継続力という強み

何時間も画面に向かって、失敗しても何度も挑戦する。この粘り強さは、実は勉強やスポーツでも喉から手が出るほど欲しい能力です。
「飽きっぽい」のではなく、「興味があることにはとことんハマれる」のです。この集中力の矛先が、もしゲームの「プレイ」から「作り手」側や、プログラミングなどの「仕組み」側に向いたとき、化ける可能性があります。

好きな世界に没頭できる才能

これからの時代、AIが台頭してくると、言われたことをただこなす能力よりも、「オタク気質」のような特定の分野に深く没頭できる専門性が評価されると言われています。
「ゲームばかりして」と嘆くより、「この子は一つのことにこれだけ没頭できる才能があるんだ」と捉え直してみると、親としての心の持ちようが少し楽になりませんか?

親の声かけ一つで変わる可能性

「あんた、まだやってるの!」を、「すごい集中力だね。今はどこまで進んだの?」に変えてみる。
親が自分の世界に関心を持ってくれたとわかると、子どもは嬉々として話してくれます。その会話の中で、「へー、その動きってどういうプログラムで動いてるんだろうね?」と、少しだけ知的な問いかけを混ぜてみるのもおすすめです。

選択肢の一つとして知っておきたい学び方

もし、お子さんがゲーム好きで、かつ「自分で何か作ってみたい」「仕組みを知りたい」という興味を示しているなら、ゲーム制作やプログラミングを学べるスクールなどを覗いてみるのも一つの選択肢です。

最近は、マインクラフトやRobloxを使って、遊びの延長でプログラミングを学べるオンライン教室も増えています。「勉強しなさい」と言っても動かない子が、「ゲームを作れるようになるよ」と言うと目の色を変えるなんて話もよく聞きます。

もちろん、費用もかかりますし、通ったからといって全員がプログラマーになれるわけではありません(現実はそんなに甘くないですよね)。中には「遊べると思ったのに勉強だった」とすぐ飽きてしまう子もいるでしょう。

ただ、「ゲームをやめさせる」ことだけにエネルギーを使うより、「ゲーム好きを活かす」方向へ舵を切ってみる。まずは無料体験などで「消費する側」から「創る側」へ視点をずらすきっかけを与えてあげるだけでも、親ができる大きなサポートになるのではないでしょうか。

-そだてる暮らし