家計と資産作り

「相続した実家を放置してない?空き家を高く・安全に売るための完全ガイド」

こんにちは、4歳と7歳のやんちゃな息子たちと格闘中のママ、しずくです!

子育て真っ最中の私たち世代って、教育費や自分たちの老後資金のこと、そして最近はNISAみたいな資産運用も気になりますよね。私も日々の節約や保険の見直しをしつつ、どうやってお金と向き合っていくか研究中です。

そんな「今と未来のお金」を考える中で、最近、私の周りや友人たちの間でよく話題になるのが「親の家、どうする?」という問題。

親が元気なうちは「まだ先のこと」と思っていても、いつかは直面するのが「実家の相続」です。
いざ相続したものの、「自分たちは持ち家があるから住めない」「実家は遠方で管理も難しい」…そんな理由で、誰も住まないまま空き家になっているケース、実はすごく多いんですよね。

「とりあえず、そのままにしておこう」

そう思っていても、実はその「放置」が、将来的に大きな金銭的負担や思わぬトラブルにつながってしまうかもしれません。

大切な資産であるはずの実家が、気づけば「負動産」になっていた…なんて事態は避けたいですよね。

この記事では、私と同じように子育てや仕事に忙しい世代が、いざという時に慌てないために知っておきたい「相続した実家を放置するリスク」と、「どう考え、どう動くべきか」について、一緒に考えていきたいと思います。

まずは、なぜ「そのまま放置」が良くないのか、具体的なリスクから見ていきましょう。

相続した実家を放置するリスクとは?

「誰も住んでいない家だけど、親が遺してくれた大切な実家だし…」
「売るにも手続きが面倒そうだし、とりあえずそのままに…」

そう考える気持ち、とてもよく分かります。ですが、その「とりあえず」が、家計や家族関係に重くのしかかってくる可能性があるんです。

「なんとなく不安」を「具体的なリスク」として理解しておくことが、後悔しないための第一歩。まずは、空き家を放置することで起こり得る、3つの大きなリスクを一緒に確認していきましょう。

固定資産税・維持費の負担

まず、一番現実的で、すぐに家計に響いてくるのが「お金の負担」です。

ご存知の通り、不動産を持っている限り、「固定資産税」と、場所によっては「都市計画税」が毎年必ず課税されます。これは、たとえ誰も住んでいなくても、一切使う予定がなくても、容赦なく請求が来るもの。

「え、でも住んでいない家(空き家)なんだから、税金安くなったりしないの?」

そう思われるかもしれませんが、実は逆なんです。
通常、人が住んでいる家(居住用宅地)には「住宅用地の特例」が適用されていて、固定資産税が大幅に軽減されています(最大で6分の1など)。

しかし、後ほど詳しく触れますが、管理されていない空き家が「特定空き家」に指定されてしまうと、この特例が解除されてしまうんです。そうなると、ある日突然、固定資産税が最大6倍に跳ね上がる…なんていう、恐ろしい事態も起こり得ます。

さらに、税金以外にも「維持費」がかかります。

維持費の項目 具体的な内容と理由
光熱費の基本料金 家は人が住まないと、換気がされず湿気がこもり、一気に傷みます。そのため、定期的に掃除や換気に行くための電気や、水道管の凍結防止・清掃のために通水しておくケースも多く、その基本料金がかかります。
火災保険料 誰も住んでいなくても、放火や自然災害のリスクはあります。万が一、隣家にもらい火などをさせてしまった場合を考えると、火災保険は必須。空き家専用の保険は、居住用より割高になる傾向もあります。
管理費用 遠方で自分で行けない場合、庭の草むしりや木の剪定、簡単な清掃などをシルバー人材センターや専門業者に委託する費用がかかります。これを怠ると、次の「近隣トラブル」の原因にも…。

これら「税金+維持費」が、年間数万〜数十万円単位で、実家を所有し続ける限りずっとかかってくるわけです。

私たち子育て世代は、これから子どもの教育費もどんどんかかってきますし、自分たちのNISAでの積立も頑張りたいところ。そんな中で、使っていない実家のための「見えない支出」が毎年続くのは、家計にとってかなりの痛手ですよね。

老朽化・近隣トラブル・倒壊リスク

次も非常に深刻な問題です。それは「家の急速な老朽化」と、それに伴う「ご近所トラブル」です。

家というものは、本当に不思議なもので、人が住まなくなり、窓を開けて空気を通すことがなくなるだけで、驚くほどのスピードで傷んでいきます。

  • 湿気によるカビの発生、畳や壁紙の腐食
  • シロアリやネズミ、ハクビシンといった害虫・害獣の発生
  • 水道管の錆びや破裂(冬場の凍結など)

そして、外回りも荒れていきます。

  • 庭木や雑草が伸び放題になり、景観を損ねる
  • 雑草が隣家にはみ出したり、落ち葉が隣家の雨どいを詰まらせたりする
  • 不法投棄のターゲットにされる
  • スズメバチなどが巣を作る

これらはすべて、ご近所さんとの関係悪化に直結します。「親が昔お世話になったご近所さんに、迷惑をかけるわけにはいかない…」という心理的なストレスも大きいですよね。

さらに最悪のケースが、老朽化が進んだ結果、台風や地震などで家の一部(屋根瓦や外壁など)が崩れたり、最悪の場合は倒壊したりするリスクです。

もし、崩れた外壁で通行人が怪我をしたり、倒壊して隣家を破損させてしまったりした場合、その損害賠償責任は、相続した私たち所有者が負うことになります。
これはもう「税金が高い」どころの話ではありません。管理を怠った責任として、何千万円もの賠償を請求される可能性だってゼロではないのです。

法改正で「特定空き家」に指定されるリスク

そして、H3-1の税金問題とも関わる、法的なリスクです。
近年、社会問題化する空き家を減らすため、「空家等対策の推進に関する特別措置法」という法律が施行・改正されています。

この法律により、管理が不十分で以下のような状態にある空き家は、自治体によって「特定空き家」に指定される可能性があります。

  1. 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  2. 著しく衛生上有害となるおそれのある状態(ゴミの放置、害虫の大量発生など)
  3. 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
  4. その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

もし「特定空き家」に指定されてしまうと、どうなるのでしょうか?

  1. 助言・指導:自治体から「ちゃんと管理してくださいね」という連絡が来ます。
  2. 勧告:指導に従わない場合、「勧告」が出されます。
    • ★この時点で、固定資産税の「住宅用地の特例」が解除されます。
    • 結果として、土地の固定資産税が最大6倍(※地域や条件によります)に跳ね上がります。
  3. 命令:勧告にも従わない場合、行政から「〇〇しなさい」という「命令」が出ます。これに違反すると過料(罰金のようなもの)が科されることがあります。
  4. 行政代執行:最終手段として、自治体が強制的に家を解体し、その解体費用(数百万円)が所有者に請求されます。

「うちの実家はまだ大丈夫」と思っていても、遠方で管理が行き届かず、近隣からクレームが入れば、自治体も調査に動かざるを得ません。

経済的な負担、ご近所トラブル、そして法的なリスク…。
「相続した実家を放置する」という選択は、私たちが思っている以上に重いデメリットを抱えているんです。

実家売却を検討する前に確認すべき3つのこと

相続した実家を放置するリスク、思った以上にたくさんありましたね…。固定資産税が6倍になる可能性なんて、子育て世代の家計には本当に大打撃です。

「やっぱり、早めに何か手を打たないと」
「じゃあ、いっそ売却するなら…?」

そう考え始めた時、多くの人が「で、何から始めればいいの?」という最初の壁にぶつかります。
家を売る、しかも「相続した家」を売るというのは、普段私たちが経験する「家の購入」や「賃貸」とは全く違う手続きが必要です。税金や法律も絡んでくるので、「よく分からないまま進めてしまった」ということだけは避けたいですよね。

焦って不動産会社に相談しに行く前に。
まずはご自身で、足元をしっかり固めることが大切です。ここでは、売却を検討する「前」に、必ず確認しておきたい3つの重要なポイントを見ていきましょう。

登記名義と共有者の有無をチェック

まず、何よりも先に確認すべきこと。それは「その実家の登記名義(所有者)が誰になっているか」です。

「え、親の家なんだから、親に決まってるんじゃ?」
そう思いますよね。でも、法的にはそう単純ではないんです。

相続が発生した(親が亡くなった)時点で、その家は自動的に「相続人全員の共有財産」となります。例えば、相続人が「配偶者(母)と、子ども2人(私と兄)」なら、その3人の共有物ということです。

そして、不動産は、登記上の名義人(または相続人全員の同意)がなければ、絶対に売却できません。

ここで確認したいのは、「法務局」にある「登記事項証明書(登記簿謄本)」です。これを見れば、その家の法的な所有者が誰なのかが分かります。

  • パターン1:まだ亡くなった親の名義のまま
    • → これが一番多いケースです。このままでは売却できません。まず相続人全員で「誰の名義にするか」を話し合い(遺産分割協議)、法務局で「相続登記(名義変更)」を完了させる必要があります。
  • パターン2:すでに相続人(例えば母)の名義になっている
    • → この場合は、その名義人(母)が売却の意思決定者となります。
  • パターン3:相続人全員(母と私と兄)の「共有名義」になっている
    • → この場合、売却するには共有者全員の同意(実印と印鑑証明)が必須です。「私は売りたいけど、兄は反対している」という状態では、一歩も進めません。

特に兄弟姉妹がいる場合、「なんとなく長男が相続するのかな?」といった曖昧な認識のまま放置していると、いざ売却という段階で「俺(私)の持ち分はどうなるんだ?」とトラブルになることも…。

まずは「今の法的な権利状況」を確定させることが、全てのスタートラインになります。

相続登記義務化で何が変わった?

H3-1の「名義変更(相続登記)」に関連して、とても大切な法改正がありました。
これまで「相続登記」は義務ではなかったため、「親の名義のまま放置」されている不動産が日本中に溢れかえり、それが空き家問題の一因にもなっていました。

そこで、2024年4月1日から、相続登記が「義務化」されました。

  • 内容:相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければならない。
  • 過去の相続も対象:恐ろしいことに、この法律が施行される「前」に相続した不動産(親の名義のまま放置していた実家など)も対象です。(施行から3年以内の猶予期間あり)
  • 罰則:正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料(罰則金のようなもの)が科される可能性があります。

「売るかどうかも決めてないし、面倒だから…」と先延ばしにすることが、もうできなくなりました。
売却するにせよ、誰かが住むにせよ、賃貸に出すにせよ、どちらにしても「相続登記」は必須のステップになった、と覚えておいてくださいね。

売却前に「相場」を把握する理由(SUUMO査定の活用)

登記の状況が確認できたら、次はいよいよ「じゃあ、この実家っていくらで売れるんだろう?」という疑問が出てきますよね。

ここで注意したいのが、いきなり近所の不動産屋さん1社だけに「査定してください」と飛び込まないことです。

なぜなら、不動産の価格(査定額)は、1社だけでは「適正価格」かどうか判断が難しいからです。
その会社が「売りたい(仲介手数料が欲しい)」あまりに高すぎる査定額を出してくるかもしれませんし、逆に「早く売りさばきたい」ために安すぎる査定額を提示してくるかもしれません。

特に相続した実家の場合、私たち自身がその家の価値を客観的に判断するのは難しいですよね。
だからこそ、売却活動を本格的に始める前に、まずは「客観的な相場観」を養うことが重要なんです。

この「相場把握」に役立つのが、「不動産一括査定サイト」です。

例えば、テレビCMなどでもおなじみの「SUUMO(スーモ)」も、こうした売却査定サービスを提供しています。
SUUMOのような大手の一括査定サイトを利用するメリットは、主に以下の2点です。

  1. 複数の会社に一度に依頼できる手軽さ
    • 物件情報を一度入力するだけで、その地域に対応している複数の不動産会社に査定を依頼できます。1社1社電話したり、訪問したりする手間が省けます。
  2. 査定額を「比較」できる
    • A社は「2,000万円」、B社は「2,300万円」、C社は「1,900万円」といったように、複数の査定額が手元に集まります。
    • なぜその金額なのか(何を評価し、何をマイナス点と見たか)の理由も聞くことで、「だいたい、これくらいの価格帯なんだな」という客観的な相場が見えてきます。

「すぐに売る気はないんだけど…」という段階でも、まずは「もし売ったらいくらになるのか?」という“資産価値”を知ることは、相続した実家をどうするか、家族で話し合うための重要な「判断材料」になります。

SUUMOは利用者数も多く、提携している不動産会社の数も多い(全国で4,000店舗以上)ため、地方の実家であっても対応できる会社が見つかりやすいという安心感もありますね。

「相続登記の確認」と「おおよその相場把握」。
この2つが、実家売却に向けた最初の大切な準備運動になります。

相続不動産を売るまでの具体的な流れ

名義人を確認して(あるいは相続登記の準備をして)、SUUMOみたいな査定サイトで「だいたいの相場観」も掴めてきた。
よし、これで売却に向けて一歩前進!…と思っても、次に「え、手続きって全部でいくつあるの?」「税金とか、いつ払うの?」と、その道のりの長さにちょっと圧倒されてしまいそうですよね。

私もNISAを始めるとき、最初は「証券口座の開設?」「特定口座って何?」と用語の多さにくじけそうになりました(笑)。
でも、大丈夫。全体像さえ分かっていれば、一つひとつは「作業」としてクリアしていけます。

特に「相続した不動産」の売却は、通常の家の売却とは少し順番が違います。ここで、全体の流れをしっかり掴んでおきましょう。

遺産分割協議 → 名義変更 → 査定 → 売却契約の全体像

相続した実家を売る場合、大きく分けると「相続の手続き」「売却の手続き」の2段階になります。売却の前に、まず「誰のものにするか」を確定させるのが先なんです。

【ステップ1:相続の手続きフェーズ】

  1. 相続人の確定:まずは「誰が相続人なのか」を法的に確定させます。亡くなった親の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍など)を全て集める必要があり、これが結構大変な作業です…。
  2. 遺産分割協議:相続人全員で「誰が、どの財産を、どれだけ相続するか」を話し合います。実家(不動産)以外にも預貯金や株など、すべての財産が対象です。
    • ここが最重要ポイント!
    • 売却する前提なら、「売却して、そのお金を兄弟で分ける(換価分割)」のか、「とりあえず代表者(長男など)が相続して、売れたら分ける」のか、全員が納得するまで話し合います。
    • この話し合いの結果をまとめた「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が実印を押します。
  3. 相続登記(名義変更):遺産分割協議書など必要書類を揃えて、法務局で不動産の名義を「亡くなった親」から「相続する人(例:代表で相続した長男)」へ変更します。これが完了して、初めて法的に売却が可能になります。

【ステップ2:売却の手続きフェーズ】

  1. 不動産会社の査定・選定:ここで初めて不動産会社にコンタクトを取ります。H2-2で触れたように、SUUMOなどを使って複数社に査定を依頼します。
  2. 媒介契約:「この会社にお願いしよう!」と決めたら、「売却活動を正式に依頼します」という契約(媒介契約)を結びます。
  3. 売却活動:不動産会社が広告を出したり、購入希望者の内覧対応をしたりします。
  4. 売買契約:購入希望者が見つかったら、金額や条件を交渉し、合意したら「売買契約」を結びます。
  5. 決済・引き渡し:買主から売買代金を受け取り、家の鍵を渡し、法務局で所有権移転登記(買主への名義変更)を行います。
  6. 確定申告:売却して利益が出た場合は、翌年に「譲渡所得税」の確定申告が必要です。

…いかがですか?ステップが多くて大変そうに見えますが、特に前半の「相続手続き」は司法書士、後半の「売却手続き」は不動産会社と、プロの力を借りながら進めるのが一般的です。

複数社査定のメリットと注意点

ステップ4の「不動産会社の査定」は、売却が成功するかどうかを左右する大事なポイントです。
先ほどSUUMOなどの一括査定サイトが便利、という話をしましたが、なぜ「複数社」に依頼することがそんなに大事なのでしょうか?

単に「一番高い査定額を知るため」だけではないんです。

複数社査定のメリット ママ(しずく)目線の解説
① 適正な相場(売り出し価格)が分かる 1社だけだと、その査定額が本当に正しいか分かりません。安すぎれば損をしますし、高すぎても全く売れず、結局値下げして時間がかかるだけ…。複数の「プロの目」を通すことで、現実的な売却ラインが見えてきます。
②「相続案件」への対応力を見極められる 相続した実家の場合、「家の中にまだ荷物が残っている」「兄弟が遠方に住んでいる」「税金の特例を使いたい」など、事情が複雑なことが多いです。親身になって相談に乗ってくれるか、相続の知識が豊富か、という「担当者との相性」を見極める絶好の機会です。
③ 売却戦略の「提案」を比較できる 「少しリフォーム(掃除)してから売りましょう」「いや、買主がリフォームしたいだろうからこのまま売りましょう」「いっそ更地にしては?」など、会社によって提案(戦略)が違うことがあります。どの提案が一番自分たちの状況に合っているか、比較検討できます。

ただし、注意点もあります。
それは、「提示された査定額=その金額で必ず売れる、ではない」ということ。
中には、契約(媒介契約)が欲しいがために、あえて相場よりかなり高めの査定額を提示してくる会社もゼロではありません。

大切なのは、「なぜ、その査定額になったのか」という根拠をしっかり説明してくれる会社を選ぶこと。SUUMOなどの大手サイト経由であれば、提携している会社もある程度の基準を満たしている安心感はありますが、最後は「人(担当者)」で選ぶ視点も忘れないようにしたいですね。

相続税・譲渡所得税の仕組みをやさしく解説

さて、最後は一番気になりつつも、一番分かりにくい「税金」のお話です。
相続した実家を売却すると、最大で2種類の税金が関わってきます。

  1. 相続税:「財産を相続したこと」に対してかかる税金
  2. 譲渡所得税:「不動産を売却して利益が出たこと」に対してかかる税金

① 相続税
これは、実家だけでなく、預貯金や株など、亡くなった親のすべての財産(マイナスの借金なども含む)の合計額にかかります。
ただし、「基礎控除」という大きな非課税枠があり、
「3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)」
までは相続税がかかりません。

例えば、相続人が子ども2人(私と兄)なら、3,000万+(600万×2人)=4,200万円。
相続財産の合計が4,200万円以下なら、相続税の申告も納税も不要なケースが多いです。(※「小規模宅地等の特例」など他の特例を使う場合は申告が必要なこともあります)

② 譲渡所得税
これは、実家を売却して「利益(もうけ)」が出た場合にかかる税金です。
利益 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)

  • 取得費:親がその実家を「買った時」の価格や諸経費
  • 譲渡費用:売るためにかかった仲介手数料や印紙代など

「親が買った時の価格なんて分からない!」という場合も多いですよね。その場合は、売却価格の5%を「取得費」として計算するルールがありますが、これだと利益が大きく出てしまい、税金が高額になりがちです。

でも、安心してください。
相続した「空き家」を売却する場合、一定の要件(※)を満たせば、利益から最大3,000万円を控除できる「空き家の3,000万円特別控除」という強力な特例があります。

(※)主な要件(かなり複雑です)
・相続開始(親が亡くなった日)から3年以内(の年の年末まで)に売ること
・昭和56年5月31日以前の古い家の場合、耐震リフォームをするか、家を取り壊して更地で売ること
・売却代金が1億円以下であること …など

この税金の話は、相続の状況によって「どの特例が使えるか」が全く変わってきます。
「うちはどうなるんだろう?」と思ったら、必ず税理士や、相続に強い不動産会社(査定の際に聞いてみましょう)に相談してくださいね。

実家を少しでも高く売るためにできること

相続手続きや税金の流れが分かってくると、次に気になるのはやっぱり「どうせ売るなら、少しでも高く、有利に進めたい!」ということですよね。

私たち子育て世代にとって、実家の売却で得られた資金は、子どもの将来の教育費や、自分たちの老後資金(NISAでの積立原資など)にも充てられる、大切なお金。10万円、20万円でも条件が違えば、家計にとっては大きな違いです。

でも、相続した実家は、築年数が経っていたり、長年住んでいなかったりすることも多いもの。「こんな古い家、高く売れるわけない…」と諦めてしまうのは、まだ早いかもしれません。
売却活動を始める前に、私たち(売主)側でできる「ちょっとした工夫」を見ていきましょう。

家の状態を整える(掃除・残置物整理)

まず、一番手軽で、かつ効果が出やすいのが「家の第一印象を良くすること」です。
これは、購入希望者が「内覧(家の中を見に来る)」に来た時のことを想像してみると分かりやすいです。

もし、玄関を開けた瞬間にカビ臭かったり、ホコリっぽかったり、前の住人(親)の荷物が山積みのままだったら…。
購入希望者は「うわぁ…ここは掃除や片付けが大変そうだ」「修繕費もかなりかかりそう」と、無意識にマイナスの印象を持ってしまいますよね。その印象は、そのまま「価格交渉(値下げ交渉)」の材料にされてしまう可能性が高いんです。

かといって、何百万円もかけてリフォームする必要は(ほとんどの場合)ありません。
購入する側も「どうせ自分好みにリフォームしたい」と考えているケースが多いからです。

私たちがやるべきなのは、リフォームではなく「整理・整頓・清掃」です。

  • 残置物(親の荷物)の整理
    • これが一番大変な作業ですが、非常に重要です。最低限、家の中がスッキリと見える状態まで片付けましょう。
    • 「家財道具一式、すべて残ったまま」という状態では、買い手が「この処分費用は誰が持つのか?」と懸念します。売主側で処分するのが基本ですが、もし買主が「(古い家具なども含めて)そのまま引き取る」と言ってくれるなら、その分、売却価格の交渉がしやすくなるかもしれません。
  • ハウスクリーニング
    • 特に水回り(キッチン、お風呂、トイレ)や、窓、玄関など、目立つ場所だけでもプロのハウスクリーニングを入れると、見違えるほどキレイになることがあります。
  • 換気と草むしり
    • 内覧の前には必ず窓を開けて空気を入れ替え、家の周りの雑草も最低限刈っておきましょう。家の「清潔感」と「管理されている感」をアピールすることが大切です。

全てを完璧にする必要はありません。
「この家、大切に使われてきたんだな」「すぐにでも住めそうだな」と購入希望者に感じてもらうことが、値下げ交渉を防ぎ、「相場通り」か「相場より少し上」で売却するための重要なポイントになります。

相場より安く売らないための査定比較術

次に大切なのが、H2-3でも触れた「複数社査定」の活用方法、いわば「比較の技術」です。
「高く売る」の裏返しは、「安く売らない(買い叩かれない)」ことです。

不動産会社はそれぞれ得意分野が違います。

  • A社:地元のネットワークが強く、古くからのお客さんを抱えている
  • B社:インターネット広告やSNSでの宣伝活動が得意
  • C社:古い家を買い取ってリフォームして再販する(買取)のが得意

どの会社が、あなたの実家(エリアや状態)を売るのに最適かは、話を聞いてみないと分かりません。
複数社に査定を依頼したら、提示された「査定額(数字)」だけを見て「一番高いところに決めよう!」と即決しないでください。

確認すべきは、その「査定額の根拠」です。

  • なぜ、この金額なのですか?
  • 過去に、この近所でどんな家をいくらで売った実績がありますか?
  • この家を売るために、どんな広告(売り出し方)をしますか?

熱心に家の良いところ(アピールポイント)を探してくれる担当者もいれば、マニュアル通りの査定しかしない担当者もいるかもしれません。

「相場より安く売らない」とは、自分たちの実家の価値を正しく理解し、その価値を一番上手に(高く)買い手に伝えてくれる「パートナー(不動産会社)」を見つけることです。
そのためにも、複数の会社を比較する「手間」を惜しまないことが、結果的に数十万円、数百万円の差につながるんです。

SUUMOが選ばれる理由(信頼性と提携社数)

「比較が大事なのは分かったけど、じゃあ、どうやってその複数の会社を探せばいいの?」
「実家が遠方だから、地元の不動産屋さんなんて全然知らないし…」

そんな時にこそ、「SUUMO(スーモ)」のような大手一括査定サイトが真価を発揮します。
私がNISAを始めるとき、たくさんの証券会社を比較して悩んだように、不動産会社選びも選択肢が多すぎると迷ってしまいますよね。

SUUMOが「比較の入り口」として多くの人に選ばれている理由は、大きく2つあると私は分析しています。

  1. 提携不動産会社数の多さ(=比較の幅が広い)
    • SUUMOの売却査定は、全国4,000店舗以上(※2024年1月時点)の不動産会社と提携しています。
    • これは業界でもトップクラスの数です。提携先が多いということは、それだけ「選択肢が多い」ということ。
    • 私たち利用者は、一度の入力で「A社、B社、C社…」と多くの会社からの提案を待つことができます。特に、地元以外の不動産会社を探すのが難しい「地方の実家」の売却において、このネットワークの広さは大きな強みになります。
  2. 圧倒的な知名度と信頼性(=安心感)
    • 「家を売る」という大きな決断をする時、よく分からないサイトを使うのは不安ですよね。その点、SUUMOはリクルートグループが運営しており、「怪しい業者からしつこく電話がかかってきたらどうしよう…」という不安が比較的少ないのがメリットです。
    • もちろん、査定を依頼すれば不動産会社から連絡は来ますが、その「入り口」としての安心感は、特に私たちのようなネット利用に慣れた世代にとっては重要です。

SUUMOは、あくまで「最適なパートナー(不動産会社)を見つけるための比較ツール」です。
SUUMOに登録している会社の中から、先ほどの「査定比較術」を使って、自分たちの実家を一番高く評価し、熱心に売ってくれる会社を見極める。

これが、相続した実家を「安く買い叩かせない」ための、最も現実的で賢い方法だと私は思います。

売却以外の選択肢も検討しよう

さて、ここまで「実家を売却する」という前提で、そのリスクや流れ、高く売るコツについて見てきました。

「やっぱり、放置はダメなんだな」
「売るなら、ちゃんと比較しないと損しそう」

そう感じていただけたなら嬉しいです。
…でも、心のどこかで「本当に売ってしまっていいんだろうか?」という迷いが残っていませんか?

それは当然の感情だと思います。
だって、そこは親が長年住み、もしかしたら自分が生まれ育った「実家」なのですから。経済的な合理性だけでスパッと割り切れるものではありませんよね。

相続した不動産をどうするかは、「売却」だけが答えではありません。
家族みんなが納得できる結論を出すために、売却以外の「選択肢」についても、そのメリットとデメリットを冷静に比較検討してみましょう。

賃貸・管理委託・リフォームという選択肢

もし「売るのは忍びない」「いつか誰か(子どもなど)が住むかも」と思うなら、こんな選択肢もあります。

選択肢 メリット デメリット・注意点
① 賃貸に出す ・家(資産)を手放さずに済む
・毎月、家賃収入が得られる(不労所得になる可能性)
・人が住める状態にするためのリフォーム費用が初期投資として必要
・空室リスク(借り手が見つからない)
・固定資産税や修繕費はかかり続ける
・賃貸管理会社への委託費用がかかる
・入居者トラブルの可能性
② 空き家管理サービスに委託する ・ひとまず現状維持ができる
・定期的な清掃や換気、巡回を代行してもらえる(倒壊リスクや近隣トラブルを軽減)
管理委託料(月額5,000円〜数万円)が継続的にかかる
・固定資産税も払い続ける必要がある
・あくまで「維持」なので、収益は一切生まない「コスト」である
③ リフォームして自分(家族)が住む ・実家という資産を有効活用できる
・思い入れのある家を守れる
・大規模なリフォーム費用(数百〜数千万円)が必要
・自分たちの現在の生活拠点(持ち家、職場、学校)との兼ね合い
・相続人(兄弟など)がいる場合、どう公平に分けるか(住む人が他の相続人にお金を払うなど)が難しい

これらの選択肢は、「家を残せる」という大きな感情的メリットがありますが、共通して「初期費用や継続的なコストがかかる」という経済的デメリットがあります。

特に「賃貸」は、駅からの距離や周辺環境、家の状態で「借り手がつくか」が全てです。
「家賃収入で固定資産税を払おう」と安易に考えても、借り手がつかなければ、リフォーム費用と管理費だけが出ていく「赤字」状態になりかねません。

感情面の整理と家族の合意形成

こうした「売る」「貸す」「維持する」といった実務的な選択肢と同時に、いや、それ以上に大切なのが、「家族(相続人)の感情面の整理」です。

相続は、お金の問題であると同時に、家族関係の問題でもあります。
特に兄弟姉妹がいる場合、実家に対する思い入れは人それぞれ違います。

  • 「親との思い出が詰まっているから、絶対に売りたくない」(長女)
  • 「遠方だし管理も面倒。早く売ってスッキリしたい」(次男)
  • 「自分は持ち家があるから要らないけど、売却益は法律通りに欲しい」(長男)

こうした「温度差」があるまま、誰か一人が「売るぞ!」と突っ走ってしまうと、後々まで続く深刻な亀裂(いわゆる「争続」)になりかねません。

私も4歳と7歳の息子がいますが、将来もし私たちが何かを残した時、彼ら兄弟が仲違いする姿だけは見たくないな…と心から思います。

大切なのは、
「自分はこうしたい(Want)」
だけでなく、
「この家を放置すると、税金が年間〇〇万円かかり、倒壊リスクもある(Fact)」
という客観的な情報を全員で共有することです。

そして、お互いの気持ちを尊重しつつ、「家族みんなにとって、どの選択が一番負担が少なく、公平か」を冷静に話し合う場を持つこと。
これが、売却手続きそのものよりも、ずっと重要で、難しいプロセスかもしれません。

最終判断をする前に「客観的な査定」を取る重要性

では、その「冷静な話し合い」をするために、何が必要でしょうか?
それは、「客観的な判断材料」です。

  • 「売る」→ 売ったら、いくらになるのか?
  • 「貸す」→ 貸したら、いくらの家賃が見込めるのか?(そしてリフォーム代はいくらか?)

この「金額(相場)」が分からないまま、「売りたい」「売りたくない」と感情論で話し合っても、議論は平行線をたどるだけです。

ここで、再び「不動産査定」が役立ちます。
この段階での査定は、「売るため」の査定ではなく、「家族会議の資料作り」のための査定です。

「もし、今この実家を売却したら、だいたい2,000万円くらいになるらしい」
「一方で、賃貸に出すにはリフォームに300万円かかって、家賃は月8万円くらいが相場らしい」

こういう具体的な数字が分かれば、
「じゃあ、2,000万円を3人(兄弟)で分けた方が、リフォームの初期投資リスクや空室リスクを負うより、全員にとって公平で現実的かもしれないね」
という、論理的で前向きな話し合いができるようになります。

この「判断材料」を得るためにも、やはりSUUMO(スーモ)のような一括査定サイトは便利です。
「まだ売ると決めたわけではないのですが、家族会議の参考に、売却価格と賃貸価格の相場を両方知りたい」と正直に伝えれば、多くの不動産会社は両方の視点でアドバイスをくれるはずです。

売るか、貸すか、維持するか。
どの道を選ぶにしても、まずは「資産としての現在価値(=査定額)」を知ること。
それが、感情的なしこりを残さず、家族みんなが納得できる「次の一歩」を踏み出すための、最も確実な羅針盤になります。

まとめ|“親の家”を未来につなぐために

ここまで、「相続した実家」をどうすべきか、放置するリスクから、売却の流れ、そして売却以外の選択肢まで、一緒に考えてきました。

「相続」や「実家じまい」という言葉は、少し重たく感じられるかもしれません。
私も、まだ4歳と7歳の息子たちの子育てに追われる日々で、「親の家をどうするか」なんて、ずっと先の話だと思っていました。

でも、時間は待ってくれません。
私たち子育て世代が、子どもの教育費や自分たちのNISAでの資産形成に必死になっている間に、実家は(私たちが気づかないうちに)少しずつ傷み、税金という形で家計への負担を増やし続けているかもしれないのです。

空き家問題は「誰にでも起こり得ること」

この記事で見てきたように、相続した実家を放置してしまうリスクは、思った以上に現実的で、深刻です。

  • 誰も住んでいなくてもかかり続ける「固定資産税」と「維持費」
  • 管理を怠れば「特定空き家」に指定され、税金が最大6倍になるリスク
  • 老朽化による「倒壊」や「近隣トラブル」、そして「損害賠償」のリスク

こうした問題は、決して他人事ではありません。
私たちの子育てが一段落する頃には、誰もが直面する可能性のある「共通の課題」なんです。

だからこそ、まだ親が元気なうちから、「もしもの時、この家どうする?」と軽く話してみたり、いざ相続が起こったら、問題を先送りにしないことが大切なんですね。

行動の第一歩は“現状を知る”こと(SUUMO査定への自然導線)

では、まず何から始めればいいのか。
それは、相続登記(名義)の状況を確認すること。
そして、「その実家の、今の“客観的な価値”を知ること」です。

  • 売るにしても
  • 貸すにしても
  • 誰かが住むにしても
  • あるいは「売らない」という選択をするにしても

全ての判断の土台となるのは、「もし売ったらいくらになるのか?」という「査定額」です。

この「相場」というモノサシがあって初めて、私たち家族は感情的にならず、
「売却して現金化し、教育費や老後の資金(NISAなど)に充てるのが合理的か?」
「それとも、コストをかけてでも『思い出の家』を残すべきか?」
という、建設的な話し合いができます。

とはいえ、「いきなり不動産屋さんに電話するのはハードルが高い…」「遠方だから、どこに頼めばいいか分からない…」というのが本音ですよね。

そんな時こそ、「SUUMO(スーモ)」のような、信頼できる大手の一括査定サイトを「比較の入り口」として活用するのが賢い選択です。

  • 提携社数が多いから、地方の実家でも対応できる会社が見つかりやすい
  • 複数の会社の「査定額」と「根拠」を比較できるから、安く買い叩かれるリスクを減らせる
  • 「まだ売ると決めていない段階」でも、客観的な判断材料集めとして利用できる

親が大切にしてきた実家という資産を、次の世代(私たちや、私たちの子ども)のために、どういう形で「つないでいく」のがベストなのか。

その答えを出すための第一歩として、まずは「現状把握(=査定)」から始めてみませんか?
それが、将来の不安を減らし、家族みんなが納得できる未来を選ぶための、最も確実なスタートになるはずです。

-家計と資産作り