家計と資産作り

親が施設に入居後、実家はどうする?空き家リスクと売却・賃貸・維持の比較|家族の負担を減らす選択肢

こんにちは、4歳と7歳の息子たちと日々奮闘中のママ、しずくです。

子育て真っ最中の私たち世代ですが、最近ママ友との会話でも「親のこと」が話題にのぼる機会が増えてきました。特に、親御さんが介護施設に入居することになった、なんて話を聞くと、ひとまず安心する一方で、「じゃあ、ご実家はどうするんだろう?」と、ふと気になったりします。

私自身、実家はまだ両親が元気に暮らしていますが、これは決して他人事ではありませんよね。

親が施設に入ることになったとき、残された「実家」をどうすべきか──。

「まだ元気だから」「いつか帰ってくるかも」とつい後回しにしてしまいがちですが、その判断が、後々家族にとって大きな負担になるケースも少なくないようです。

誰も住まなくなった家は、「空き家」となり、私たちが思う以上に多くのリスクや金銭的な負担(税金など)を抱えることになります。

この記事では、子育て世代の私たちも今のうちに知っておきたい、「親の家」をどう整理していくか、家族の負担を減らしつつ、親の思いも尊重できるような「実家の整理と売却」の進め方について、一緒に考えていきたいと思います。

親が施設に入るときに浮上する“実家問題”とは?

親御さんの施設入居が決まると、ひとまず介護の負担が軽減されたり、安全な環境で過ごしてもらえることに安堵したり、家族としては少しホッとするタイミングかもしれません。

でも、それも束の間。次に直面するのが「誰も住まなくなった実家をどうしよう?」という、とても現実的な問題です。

「親の家」が「空き家」になることで、具体的にどんな困りごとが出てくるのでしょうか。まずは、目をそらしがちなリスクやコストについて、しっかり確認していきましょう。

誰も住まない家が抱えるリスク(老朽化・固定資産税・防犯)

「思い出の実家」も、人が住まなくなると驚くほどのスピードで傷んでいくと言われています。私たちが想像する以上に、家は「人が住むこと」で維持されている部分が大きいんですね。

具体的には、以下のようなリスクが挙げられます。

  • 急速な老朽化と資産価値の低下
    • 窓を閉め切ったままにすることで、湿気やカビが発生しやすくなります。
    • 定期的な通水がないと、排水管が錆びたり、悪臭の原因になったりすることも。
    • 庭の雑草が伸び放題になったり、ネズミや害虫が発生したりと、衛生環境も悪化しがちです。
  • 継続的な金銭的負担(固定資産税・維持費)
    • 当然ですが、誰も住んでいなくても、所有している限り「固定資産税」や「都市計画税」は毎年かかります。
    • 火災保険料も必要ですし、遠方に住んでいる場合は、様子を見に行くだけでも交通費がかさみます。
  • 防犯・防災上のリスクと近隣トラブル
    • 人の出入りがない家は、空き巣や不法侵入のターゲットになりやすいと言われます。
    • 郵便受けにチラシが溜まっていると、一目で空き家だと分かってしまいますよね。
    • 放火のリスクや、台風などで屋根や壁が破損して近隣に迷惑をかけてしまう可能性もゼロではありません。

「管理するだけ」といっても、実際には時間もお金も想像以上にかかる、というのが現実のようです。

空き家対策特別措置法で税金が増えるケースも

「固定資産税くらいなら、仕方ないか…」と思っていると、さらに大きな負担が待っているかもしれません。

それが、「空き家対策特別措置法」です。

この法律は、管理が不十分で周囲に悪影響を与えかねない空き家(「特定空家」と呼ばれます)に対して、自治体が改善を指導・勧告できるように定めたものです。

もし、親の実家が「特定空家」に指定されてしまうと、どうなるのでしょうか?

「特定空家」に指定される流れ

  1. 助言・指導: 自治体から「適切に管理してください」という連絡が来る。
  2. 勧告: 指導に従わない場合、「勧告」が出されます。
    • ここが重要!: この「勧告」を受けると、固定資産税の「住宅用地特例」が適用されなくなります。
  3. 命令・行政代執行: さらに放置すると、命令が出され、最終的には自治体が強制的に解体などを行い、その費用が請求されることも。

一番の打撃は、2の「勧告」による固定資産税の増額です。
「住宅用地特例」が外れると、土地にかかる固定資産税が、最大で6倍(※自治体や土地の広さによります)にも跳ね上がる可能性があるんです。

「親の家」だからと放置していた結果、税金負担が一気に増えてしまった…という事態は、絶対に避けたいですよね。

「思い出の家」をどう扱うか家族で話し合う重要性

とはいえ、こうしたリスクや税金の話だけで、すぐに「じゃあ売ろう!」と割り切れないのが「実家」という場所の難しさです。

親御さんにとっては、長年暮らした大切な城であり、たくさんの思い出が詰まった場所。私たち子供にとっても、帰るべき故郷ですよね。

だからこそ、家族間での「話し合い」が何よりも重要になります。

  • 親の意向の確認: もし親御さんの意思疎通がまだ可能であれば、「この家をどうしたいか」をしっかり聞いておくことが大切です。「いつか帰りたい」という思いがあるのか、それとも「子供たちに迷惑はかけたくない」と思っているのか。
  • 兄弟姉妹間での認識合わせ: 「長男(長女)が管理すべき?」「売却するなら、どう分ける?」「誰が費用を負担する?」など、現実的な役割分担や意向をすり合わせる必要があります。
  • 現実的なリスクの共有: 先ほど挙げた老朽化や税金(空き家 税金)のリスクについても、感情論ではなく「データ」として家族全員で共有することが、冷静な判断につながります。

「親が施設に入って、少し落ち着いてから…」ではなく、入居のタイミングこそが、家族で「親の家」の将来について話し合う最初の、そして一番大事な機会なのかもしれません。

「売る」「貸す」「維持する」3つの選択肢を比較

親御さんが施設に入った後、実家をどうするか。感情的な側面を一旦横に置くと、現実的な選択肢は大きく分けて「売る」「貸す」「維持する(そのまま管理する)」の3つになります。

どれが一番良いかは、ご家族の状況や実家の状態、立地などによっても変わってきます。それぞれのメリットとデメリット、そして「お金」と「手間」の観点から、冷静に比較してみましょう。

私自身、NISAや投資でお金のことを勉強中ですが、不動産も「資産」としてどう扱うのが合理的か、という視点は大切ですよね。

3つの選択肢 比較早見表

まずは、それぞれの特徴を表でざっくりと比較してみます。

選択肢 メリット デメリット・注意点 お金の側面(一例) 手間・負担
① 売却する ・まとまった現金が手に入る
・固定資産税などの維持費がゼロになる
・管理の手間から解放される
・「実家」という場所がなくなる
・売却益に税金がかかる場合がある
・手続きや片付けが大変
◎ 売却益(資産の現金化)
ー 維持費がなくなる
△(売却活動・片付け)
② 賃貸に出す ・定期的な家賃収入が期待できる
・資産として持ち続けられる
・将来的に住む選択肢も残る
・空室リスクがある
・入居者トラブルの対応が必要
・修繕費や管理委託費がかかる
・リフォーム費用が先にかかる
△ 家賃収入(不確定)
× 修繕費・管理費(継続)
×(管理・トラブル対応)
③ 維持する ・思い出の場所を残せる
・親が一時帰宅できる場所がある
・将来、誰かが住むかもしれない
・固定資産税や保険料がかかり続ける
・家の老朽化が進む
・定期的な管理(掃除・通風)が必要
・「特定空家」のリスク
× 維持費(継続)
× 管理費用(継続)
×(定期的な管理)

こうして見ると、どの選択肢にも一長一短があることが分かりますね。もう少し詳しく見ていきましょう。

売却のメリット・デメリット(資産整理・税負担解消)

まず「売却する」という選択。これは、実家を「資産」として整理し、現金化する方法です。

メリット:
最大のメリットは、H2-1で触れたような「空き家リスク」から完全に解放されることです。
固定資産税の支払いはもちろん、火災保険料、光熱費の基本料金といった「実家 維持 費用」が一切かからなくなります。また、定期的に実家へ足を運んで管理する手間や、近隣への気遣いといった精神的な負担からも解放されます。

得られた売却益は、親御さんの施設費用や介護費用に充てることもできますし、将来の相続を考えたときも、不動産のままより現金の方が分けやすい(「争続」の防止)という側面もあります。

デメリット:
一番のデメリットは、やはり「実家」という思い出の場所が物理的になくなってしまうことへの寂しさでしょう。また、家の中の荷物をすべて片付け、整理する作業も大変です。

売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、税金がかかる可能性もあります。(※ただし、これには後ほどH2-4で触れる「3,000万円特別控除」などの特例が使えるケースも多いです)

賃貸化のメリット・注意点(空室リスク・管理負担)

次に「賃貸に出す」という選択。家賃収入が期待できると、魅力的に聞こえるかもしれません。

メリット:
うまくいけば、毎月安定した家賃収入を得ながら、資産(実家)を手放さずに済みます。将来的に「やっぱり自分たちが住む」という選択肢を残せるのもメリットです。

デメリット・注意点:
しかし、賃貸化は私たちが思う以上にハードルが高い選択肢でもあります。

  • 初期費用(リフォーム代): 人に貸すためには、キッチンや浴室、壁紙などを現代のニーズに合わせてリフォームする必要がある場合がほとんど。この初期費用が数百万円単位でかかることも。
  • 空室リスク: 常に借り手が見つかるとは限りません。立地が悪かったり、建物が古すぎたりすると、家賃を下げても借り手がつかない「空室リスク」が常につきまといます。
  • 管理負担: 借り手が見つかっても、「お湯が出ない」「雨漏りがする」といったクレーム対応や、家賃滞納の督促、退去時の立ち会いなど、大家としての業務が発生します。不動産管理会社に委託するとしても、当然、管理委託料(家賃の5%程度が相場)がかかります。

「不労所得」どころか、かえって手間と支出が増えてしまう可能性があるのが、賃貸化の難しいところです。

維持する場合にかかる年間コスト(固定資産税・管理費用)

最後に「維持する(そのままにしておく)」という選択です。

メリット:
「親がもしかしたら一時帰宅するかも」「将来、兄弟の誰かが住むかも」といった可能性を残せること、そして「売る・貸す」といった面倒な手続きを先送りにできることが、ある意味でのメリットかもしれません。

デメリット:
デメリットは、H2-1で挙げたリスク(老朽化、防犯、特定空家による税金増額)をすべて抱え続けることに他なりません。

「空き家 管理 費用」として、具体的にどれくらいかかるのでしょうか。

【空き家を「維持する」場合の年間コスト(一例)】

  • 固定資産税・都市計画税: 年間 10万〜15万円(※地域や評価額による)
  • 火災保険料・地震保険料: 年間 2万〜5万円
  • 光熱費の基本料金: 年間 1万〜2万円
  • (遠方の場合)実家への交通費: 年間 数万円〜
  • (オプション)空き家管理サービス料: 月額 5,000円〜1万円(年間 6万〜12万円)

何もしなくても、年間20万円〜30万円以上のコストが継続的にかかってくる計算になります。

どの選択肢を選ぶにしても、「なんとなく」で決めてしまうと後で後悔することになりかねません。家族構成や実家との距離、そして何より「お金と手間」のバランスを考えて、家族全員で納得できる道を探すことが大切ですね。

実家を売るときの手続きと流れ

H2-2の比較で「売却」という選択肢が現実的かもしれない、と考え始めた方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、いざ「実家を売る」となると、「何から手をつけていいの?」「手続きが複雑そう…」と、また新たな不安が出てくると思います。

特に、親御さん本人が施設にいる場合、手続きがさらに難しく感じられますよね。

大丈夫です。ここでは「実家 売却 流れ」として、大きなステップに分けて、押さえるべきポイントを一つずつ整理していきます。焦らず、全体像をつかんでいきましょう。

名義確認(親の名義・共有名義・成年後見制度)

売却の準備として、一番最初(最重要)に行うべきこと。それは、その実家の「名義(所有者)」が誰になっているかを確認することです。

なぜなら、不動産は「所有者」本人(または法的な代理人)しか売却することができないからです。

  • 確認方法: 法務局で「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得すれば、誰が所有者か正確に分かります。
  • よくあるケース:
    1. 親(父または母)の単独名義: これが一番シンプルなケースです。その親御さんの意思で売却が進められます。
    2. 両親の共有名義: この場合、売却には両方の同意が必須です。
    3. 亡くなった親族(例:祖父)の名義のまま: これは要注意です。売却の前に、まず親御さんへ名義を変更する「相続登記」が必須となります。(※2024年4月から相続登記は義務化もされました)

そして、施設入居の際にもっとも注意が必要なのが、親御さんの意思確認が難しい場合(認知症など)です。

「親が認知症だから、子供である自分が代わりに売ればいい」
これは、法的に絶対にNGです。たとえ親子であっても、本人の明確な意思確認なしに子供が勝手に実家を売ることはできません。後で他の兄弟姉妹から「勝手に売った」と「実家 売却 兄弟」トラブルになる原因にもなります。

この場合、家庭裁判所に申し立てて、本人の代わりに法律行為(契約など)を行う「成年後見人」を選任する必要があります。

【成年後見制度を利用する場合の注意点】

  • 時間がかかる: 申し立てから後見人が選任されるまで、数ヶ月かかることもあります。
  • 「居住用不動産の処分許可」が別途必要: たとえ後見人が決まっても、親御さんが住んでいた家(居住用不動産)を売るには、さらに家庭裁判所の「許可」が必要です。
  • 誰が後見人になるか: 家族がなれる場合もあれば、弁護士や司法書士などの専門家が選ばれる場合もあります。

「親 施設 入居 家 どうする」と考え始めたら、まずは親御さんの意思確認能力がハッキリしているうちに、名義の確認と意向の確認をしておくことが、将来のトラブルを避ける最大のポイントになります。

売却の手順(査定→媒介契約→販売→引き渡し)

名義の問題がクリアになったら、いよいよ実際の売却ステップに進みます。一般的な流れは以下の通りです。

【実家売却の基本的な流れ】

  1. 不動産会社に「査定」を依頼する
    • まずは「その実家がいくらで売れそうか」という相場を知ることから始まります。
    • この時点では1社に絞る必要はありません。複数の会社に査定してもらい、価格や担当者の対応を比較するのが一般的です。(ここで「HOME4U」のような一括査定サイトが役立ちます)
  2. 不動産会社と「媒介契約」を結ぶ
    • 「この会社にお願いしよう」と決めたら、売却活動を正式に依頼する「媒介契約」を結びます。
    • 契約には「専属専任」「専任」「一般」の3種類があり、それぞれ特徴(自分で買主を見つけても良いか、他の会社にも同時に頼めるか等)が異なります。
  3. 販売活動の開始
    • 不動産会社が広告を出したり、内覧(購入希望者への家の中の案内)の対応をしたりします。
    • 空き家の場合、売主(私たち)が内覧に立ち会う必要はほとんどありません。
  4. 売買契約の締結
    • 買主が見つかり、価格などの条件がまとまったら「売買契約」を結びます。
  5. 決済・引き渡し
    • 売却代金の残りを受け取り、家の鍵を買主に渡して、すべて完了です。

いきなり売るのではなく、まずは「①査定」で現状の価値を知ることが、冷静な判断の第一歩になりますね。

親の意向をどう反映させるか(認知症対策・委n状)

手続きの流れは分かりましたが、やはり一番気になるのは「親の気持ち」をどう扱うか、ですよね。

親御さんの意思がハッキリしている場合
これが一番望ましい形です。施設に入居していても、意識が明瞭であれば、親御さん本人が「売主」として契約の主体となります。

ただ、契約のたびに外出するのが難しい場合も多いですよね。その場合は、子供が代理人として動くための「委任状」を親御さんに作成してもらうことになります。
ただし、司法書士による本人確認など、本当に本人の意思かどうかの確認は、通常よりもしっかり行われることが多いです。

親御さんの意思確認が難しい場合(認知症など)
先ほども触れましたが、この場合は法的な手続き(成年後見制度)が必須です。
「委任状」は、本人が「何を委任するか」を理解していることが大前提なので、認知症が進んでから作成した委任状は法的に無効と判断される可能性が極めて高いです。

「親のためを思って」やったことが、法的に無効になったり、兄弟間トラブルになったりしては元も子もありません。
親御さんの判断能力が低下する前に、家族で話し合い、もしもの時の手続き(成年後見制度や、元気なうちに結んでおく「任意後見契約」など)についても調べておくことが、結果的に親御さんの意向を尊重し、家族を守ることにつながります。

売却時に気をつけたい税金と特例制度

実家を売却する流れが見えてきたところで、次に気になるのは、やっぱり「お金」、特に「税金」のことですよね。私もNISAなどで投資の勉強を始めてから、税金がいかに手残りに影響するかを痛感しています…。

家を売って利益が出ると、その利益(譲渡所得)に対して税金(所得税・住民税)がかかります。でも、安心してください。親御さんが住んでいた家(マイホーム)を売る場合には、税金の負担を大きく減らせる特例制度が用意されています。

「知らなかった」では済まされない重要なポイントなので、しっかり押さえておきましょう。

親が住んでいた家を売るときの特例(3000万円控除)

一番強力で、多くのケースで使える可能性のある特例がこれです。

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」

簡単に言うと、「売却して得た利益(譲渡所得)から、最大3,000万円まで差し引いていいですよ」という制度です。

  • 譲渡所得の計算(ざっくり):
    $売却価格 - (取得費 ※1 + 譲渡費用 ※2) = 譲渡所得$
    • ※1 取得費:その家を買ったときの代金や手数料など
    • ※2 譲渡費用:売るためにかかった費用(仲介手数料など)

例えば、売却益が2,500万円だった場合、この特例を使えば 2,500万円 - 3,000万円 = 0円(マイナス)となり、税金はかかりません

【親が施設に入居した場合の適用条件】
「でも、もう親は住んでいないけど…?」と不安になりますよね。大丈夫です。
親御さんが施設(老人ホームなど)に入居するために空き家になった場合でも、以下の条件などを満たせば、この特例の対象となります。

  1. 住まなくなった日(施設に入居した日)から、3年を経過する日の年の12月31日までに売ること。
  2. 家屋(建物)は、住まなくなってから売るまでの間、他人に貸したりしていないこと。
  3. (その他、細かい要件あり)

期限がある、というのが大きなポイントです。「いつか売ろう」と先延ばしにしていると、この大きな控除が使えなくなってしまう可能性があるんですね。

譲渡所得税・相続登記の確認ポイント

もし、3,000万円の特例を使っても利益が出る場合(例えば利益が4,000万円出た場合、3,000万円を引いた残りの1,000万円)や、特例が使えない場合には、その利益に対して「譲渡所得税」がかかります。

この税率は、家の「所有期間」によって変わります。

  • 短期譲渡所得(所有5年以下): 約39.63%(高い!)
  • 長期譲渡所得(所有5年超): 約20.315%

親御さんの実家であれば、ほとんどが「長期」に該当すると思いますが、念のため確認は必要です。

【相続登記との関係】
H2-3でも触れましたが、もし実家が「亡くなった祖父母の名義のまま」だった場合、まず親御さんに「相続登記」をする必要があります。
この場合、税金の計算で使う「取得費」や「所有期間」は、亡くなった祖父母が取得した時期を引き継ぐことになります。

「親の家 売却」と「相続」は密接に関連しているので、もし名義が親御さん本人でない場合は、司法書士などの専門家に早めに相談するのが一番確実です。

節税のために知っておきたいタイミング

税金の特例を最大限に活用するために、私たちが知っておくべき「タイミング」があります。

  1. 「3,000万円控除」の期限を意識する
    先ほども触れましたが、「施設に入居してから3年目の年末まで」という期限は非常に重要です。売却活動には時間がかかることも多いので、「まだ大丈夫」と思わず、早めに査定などの準備を始めることが節税につながります。
  2. 相続してから売るか? 生前に売るか?
    これは非常にデリケートな問題です。
    • 生前(親御さんが存命のうち)に売る場合:
      親御さん本人が「3,000万円控除」を使えます。売却益は親御さんのものとなり、施設費用などに充てられます。
    • 相続後(親御さんが亡くなった後)に売る場合:
      相続した子供(私たち)が売主になります。この場合、相続税の申告期限から3年以内などに売却すると「相続空き家の3,000万円特別控除」という、似ていますが少し条件が異なる特例を使える可能性があります。(※耐震基準など、適用要件がやや厳しいので注意が必要です)

どちらが得かはケースバイケースですが、「親が施設に入った」というタイミングで、まだ親御さんの意思がハッキリしているのであれば、生前に「3,000万円控除」を使って整理(売却)する方が、手続きも税制面もシンプルになるケースが多いようです。

税金の話は少し難しかったかもしれませんが、こうした制度を知っているかどうかで、手元に残るお金が数百万円単位で変わってくる可能性もあります。まずは「こんな特例があるんだ」と知っておくだけでも、大きな一歩ですよね。

HOME4Uで安心して査定・売却を進めるには

さて、ここまで「空き家リスク」「3つの選択肢」「手続きや税金」と、親の家をどうするかについて具体的に考えてきました。

「売却」が現実的な選択肢として見えてきた一方で、「じゃあ、どこの不動産会社に相談すればいいの?」「遠方だし、悪徳業者に捕まったらどうしよう…」と、不安は尽きませんよね。

特に、親御さんの大切な実家です。「安く買い叩かれたくない」「雑に扱われたくない」という気持ちは、私もすごく分かります。

ここで、売却への第一歩である「査定」を、安心してスムーズに進めるために役立つのが「HOME4U(ホームフォーユー)」のような不動産一括査定サービスです。

一括査定サービス自体は他にもたくさんありますが、その中でもHOME4Uは「信頼性」や「使いやすさ」の面で、私たちのような状況(親の実家をどうしようか悩んでいる)に寄り添ってくれる特徴があるようです。

※この記事はHOME4Uありきの記事ではないので、あくまで「こういうツールを使うと、第一歩が踏み出しやすいですよ」という中立的な目線でご紹介しますね。

遠方からでも利用できるオンライン査定の仕組み

私たち子育て世代は、実家と離れて暮らしているケースも多いですよね。
「査定のために、何度も実家に帰省しないといけないの?」と思うと、それだけで億劫になってしまいます。

HOME4Uのような一括査定サービスの最大のメリットは、オンラインで、しかも無料で、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できる点です。

【HOME4Uの基本的な使い方】

  1. サイト上で物件情報を入力: 実家の場所(住所)、広さ、築年数などを、分かる範囲で入力します。(約1分で完了する簡単なフォームです)
  2. 査定結果が届く: 入力情報に基づき、HOME4Uが提携する複数の不動産会社から「このくらいで売れそうですよ」という査定価格(机上査定)や連絡が届きます。
  3. 比較・検討: 届いた査定額や、各社の担当者の対応(メールの丁寧さ、提案内容など)を比較します。

まずは「机上査定」で大まかな相場を知ることができるので、実家が遠方にあっても、最初の情報収集が自宅で完結します。

もちろん、最終的に正確な価格を出して売却を依頼する(訪問査定)ステップは必要ですが、その前に「どの会社が頼りになりそうか」を自宅にいながら選別できるのは、時間も交通費も節約したい私たちにとって、大きなメリットですよね。

HOME4Uの「厳選不動産会社制」で安心取引

一括査定と聞くと、「たくさんの会社から一斉に電話がかかってきて大変そう…」というイメージ、ありませんか? 私も正直、ちょっとそれが心配でした。

HOME4Uが他のサービスと少し違うのは、提携する不動産会社を厳しく審査・厳選している点だと言われています。

  • 20年以上の運営実績: HOME4Uは、NTTデータグループが運営しており、不動産一括査定サービスとしては最も歴史が古い(2001年〜)部類に入ります。
  • 悪質な会社を排除: 利用者からのクレームが多い会社や、強引な営業をかけるような会社は、契約を解除する仕組みがあるようです。
  • 大手から地域密着型まで: 誰もが知る大手不動産会社はもちろん、「その地域での売却」に強い地元の優良な不動産会社まで、バランス良く提携しています。

不動産会社を選ぶうえで、会社の規模も大事ですが、「地元の事情」にどれだけ精通しているかも非常に重要です。親の実家がある地域の特性をよく理解してくれている会社と出会える可能性が、HOME4Uのような老舗サービスにはあると言えそうです。

親の家を丁寧に扱ってくれる会社を見つけるコツ

最終的に私たちが知りたいのは、「査定額が高いかどうか」だけではありません。
「親の思い出が詰まった家を、丁寧に扱ってくれるか」「私たちの複雑な事情(親が施設にいる、兄弟間でまだ話がまとまっていない等)を理解し、親身に相談に乗ってくれるか」ですよね。

HOME4Uを使って査定を依頼した後、複数の会社とやり取りする中で、以下のような点をチェックしてみると、「良い担当者」かどうかが見えてくるかもしれません。

  • 査定価格の「根拠」を明確に説明してくれるか?
    • ただ高い金額を提示するだけでなく、「なぜその価格なのか」(近隣の成約事例、今の市場動向など)を私たちが納得できるように説明してくれるかは重要です。
  • 私たちの事情(親の状況など)をまず聞いてくれるか?
    • すぐに「売りましょう!」と急かすのではなく、こちらの不安や状況を丁寧にヒアリングしてくれる姿勢があるか。
  • 「売却」以外の選択肢(賃貸や管理)についても情報を持っているか?
    • H2-2で比較したように、「売る」以外の選択肢もゼロではありません。売却専門だとしても、他の選択肢のメリット・デメリットを中立的に説明できる担当者は信頼できます。

HOME4Uは、あくまで「信頼できる不動産会社と出会うための入口(ツール)」です。
このツールを賢く使って、複数の会社を比較し、「ここなら親の実家を任せられる」というパートナーを見つけることが、後悔しない売却への一番の近道になりそうですね。

まとめ|「まだ早い」ではなく「今から準備」が家族を守る

「親が施設に入居することになったとき、実家をどうするか」

このとても重く、でも決して避けては通れない問題について、リスクや選択肢、具体的な手続きまで一つずつ見てきました。

親御さんが長年暮らした大切な家。
私たち子供にとっても、たくさんの思い出が詰まったかけがえのない場所。

だからこそ、「売る」「貸す」「維持する」どの選択をするにしても、感情的になったり、逆に面倒だからと問題を先送りにしたりしがちです。

でも、この記事で確認してきたように、「空き家」をそのままにしておくことは、私たちが思う以上に金銭的(固定資産税の増額など)、精神的(管理の手間や防犯リスク)な負担を家族全員に強いることになりかねません。

特に、「親が住まなくなってから3年目の年末まで」という税制特例(3,000万円控除)の期限を知ってしまうと、「なんとなく放置」しておくことが、いかに大きな損失につながるかが見えてきます。

子育てや仕事に忙しい私たち世代にとって、親の介護や実家の問題に直面すると、本当に時間も体力も奪われてしまいます。だからこそ、「まだ早いかな?」と思うくらいのタイミングで、家族が元気なうちに、少しずつ話し合いを始めておくことが、将来の「もしも」のときに家族全員を守る一番の備えになるのではないでしょうか。

「親の家を売る」と聞くと、とても冷たい響きに聞こえるかもしれません。

でも、親御さんが築いてくれた大切な資産(実家)を、誰も住まないリスクだらけの「負動産」にしてしまうのではなく、適切な時期に整理して、その価値を親御さん自身の施設費用や、これからの豊かな生活のために活かしていく。それもまた、一つの「親孝行」の形だと私は思います。

まずは、「我が家の実家は、今いくらくらいの価値があるんだろう?」と相場を知る、その第一歩から始めてみませんか。

HOME4Uのような信頼できる一括査定サイトを使えば、自宅にいながら、複数の会社に「親の家のこと」を相談できます。その査定額や担当者の対応を見てから、家族で「売るか」「貸すか」「維持するか」を具体的に考える。

その小さな行動が、ご家族全員の負担を減らし、納得のいく未来を選ぶための大切な一歩になるはずです。

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