お金を増やす(資産運用の基本)

投資で増やす前に知っておきたい「資産を守る」という考え方

「SNSを見ると、みんなNISAで賢く増やしてる。うちも乗り遅れたらヤバいかも……」

毎日、4歳と7歳のやんちゃ盛りの息子たちの終わらないお世話と家事に追われ、自分の時間なんて皆無。夜、子どもたちが寝静まった後に薄暗い部屋でスマホを眺めては、そんな焦りばかりを募らせていた時期が私にはありました。

「少しでも将来のお金を増やさなきゃ!」と、見よう見まねで話題の投資信託に生活費のギリギリまで突っ込んでしまった結果、待っていたのは「心の余裕がゼロになる」という悲劇でした。

株価が少しでも下がると、「あぁ、子どもの塾代が減っちゃう!」とスマホの画面に釘付けになり、イライラして夫や子どもにキツく当たってしまう自己嫌悪のループ。完璧にやりくりして家族の未来を明るくしたかっただけなのに、本末転倒ですよね……。

「一番儲かる正解」を探し続けるのって、毎日の家事育児でヘトヘトな私たちには、あまりにもハードルが高すぎます。

そこから私は、投資に対する考え方をガラッと変えました。「とにかく増やす」のではなく、「家族のお金を守る」という視点を持ったんです。

この記事では、かつての私のように「貯金だけじゃ不安だけど、投資で損するのも絶対に嫌!」と板挟みになっている方へ向けて、「できるだけ“がんばらず”に、ちゃんとお金を守る」ための知識と工夫を、私の痛い失敗談も交えながらわかりやすく整理していきますね。

資産形成は「増やすこと」だけではない

投資=高いリターンを狙うことではない

資産運用や投資と聞くと、昔の私は「いかに安く買って高く売るか」「どの商品が一番儲かるか」を当てるゲームのようなものだと思い込んでいました。
疲れた頭で夜な夜な「最強の投資先」「初心者 儲かる」なんて検索しては、よくわからない専門用語の羅列にそっとスマホを閉じる日々。

でも、本当に私たちがやりたいことって、日々の生活を犠牲にしてまで「高いリターン」を叩き出すことでしょうか?
プロの投資家ならいざ知らず、私たちのように毎日「今日の夕飯何にしよう」「泥だらけの靴下、洗うの面倒くさいな」と奮闘している一般の家庭にとって、投資で一攫千金を狙う必要なんて全くなかったんです。
投資本来の目的は、無理なギャンブルをすることではなく、お金に少しずつ働いてもらって「未来の生活の土台を安定させること」なんだと、失敗して初めて気づきました。

大切なのは将来必要なお金を残すこと

うちの息子たち(4歳と7歳)を見ていると、今でさえ食費がどんどん上がっているのに、これが中学生、高校生になったら一体どれだけお金がかかるんだろう……とゾッとすることがあります。

私たちが一番避けたいのは、「一番儲かるはず!」と無理な投資をして、いざ子どもが大学に入学するタイミングで大暴落が起きてお金が足りなくなることですよね。
私たちが本当に求めているのは、高級車に乗ることでもタワーマンションに住むことでもなく、「教育費や老後の資金など、家族に必要なタイミングで、必要なお金がちゃんとそこにある状態」です。
だからこそ、「どれだけ増えるか」と同じくらい、「いかに大きく減らさずに残すか」という視点がめちゃくちゃ重要になってきます。

「増やす」と「守る」を分けて考える

かつての私は、銀行口座にあるお金をひっくるめて「うちの全財産!」と考え、その中から「いくら投資に回せば増えるかな?」と丼勘定でやっていました。これ、本当に危険でした。

ある日、洗濯機が突然壊れて急な出費が必要になったとき、「あ、お金は全部投資信託に入れちゃったから、今引き出すと損しちゃう!」と大パニックになったんです。

この痛い経験から学んだのは、資産を「増やすための攻めのお金」と「家族を守るための守りのお金」にキッチリ分けること。
全部のお金に「増やすぞ!」とプレッシャーをかけるのではなく、「お前はゆっくり増えてね」「お前は絶対に減らないで、いざという時助けてね」と、お金ごとに役割分担をしてあげるだけで、毎日の相場に一喜一憂しない、穏やかな心を取り戻すことができました。

現金だけ持っていれば安全とは限らない

預金額が減らなくても物価は上がることがある

「投資なんて怖いし、やっぱり銀行の定期預金が一番安全!通帳の数字は絶対に減らないもん!」
少し前まで、私は本気でそう信じていました。

でも、週末にスーパーへ買い出しに行くたびに、じわじわと恐怖を感じるようになったんです。
「あれ? いつも買ってる卵、前は200円でお釣りがきたのに……」
「おむつの値段は同じだけど、なんか枚数減ってない?」
毎日家計を握っている皆さんなら、この肌感覚、痛いほどわかりますよね。通帳に記帳された「100万円」という数字自体は確かに減っていません。でも、世の中のモノの値段がどんどん上がっていくと、実質的にそのお金の価値は目減りしてしまうんです。

インフレでは同じ金額で買えるものが減る

これがいわゆる「インフレ(物価上昇)のリスク」というやつです。
難しい経済用語に聞こえますが、要するに「昔は100円で買えたジュースが、今は150円出さないと買えなくなった」という、私たちが毎日スーパーで直面しているあの現象のことです。

もし今、銀行に100万円預けていて、10年後も100万円のままだとします。でも10年後、もし世の中のモノの値段が倍になっていたら……。今の100万円で買えるモノの半分しか、未来の100万円では買えなくなってしまう。
「現金だけを持っていれば絶対安心」というのは、実は「お金の価値が下がるかもしれない」という見えないリスクを丸抱えしている状態なんだと知ったとき、私はハッとさせられました。

だからといって現金が不要なわけではない

「じゃあ、現金で持っておくのはダメなんだ!全部投資に回さなきゃ!」
……と、極端に走って大失敗したのが過去の私です(笑)。

インフレに弱いからといって、現金を悪者にしてはいけません。
子どもが急に熱を出して夜間救急に駆け込むときのタクシー代、突然の家電の故障、給料が減ってしまったときの生活費……。こんな「今すぐ、確実に必要なお金」として、現金ほど頼りになる最強の資産はありません。
現金には「価値が目減りするかもしれない」という弱点はあるけれど、「どんなピンチのときでも、すぐに使えて家族の生活を守ってくれる」という絶対的な強みがあるんです。

だから、「現金か、投資か」のゼロ百で考えるのをやめました。
日々の生活費と、何かあったときのための「生活防衛資金」は、絶対に減らない現金でしっかりキープする。それ以外の、しばらく使う予定のないお金だけを、インフレに負けないように別の形に変えていく。このバランスこそが、「がんばらずにちゃんと暮らす」ための第一歩なんだと実感しています。

逆に、株だけ持っていれば安心とも限らない

株式には価格変動がある

「銀行に預けっぱなしはインフレで目減りするから危険! これからは投資の時代!」
そんなネットの声を鵜呑みにして、現金の弱さを知った私は、今度は「じゃあ全部NISAで株や投資信託に変えちゃえばいいんだ!」と極端な行動に出ました。本当に、不器用というかゼロ百思考というか……(苦笑)。

でも、投資信託や株式って、銀行の預金と決定的に違うところがあるんです。それが「価格が毎日上がったり下がったりする(価格変動がある)」ということ。
投資を始めたばかりの私は、この「下がることもある」という当たり前の事実を、頭では分かっていたつもりでも、心では全く理解できていませんでした。

夕飯のハンバーグをこねながら、手がベタベタなのにスマホの画面をチラ見して「あぁ! 今日だけで数千円減ってる!」とパニックになり、夫に「今日はおかず一品減らすから!」と八つ当たりする始末。毎日数字が変動することの精神的なストレスは、想像を遥かに超えていました。

長期投資でも途中で大きく下がることはある

「でも、長期で積み立てればいつかはプラスになるって、みんな言ってるし……」
そう自分に言い聞かせていた時期もあります。確かに、過去のデータを見ると、15年、20年という長い目で見れば、世界経済の成長とともに利益が出やすくなる傾向があるのは事実です。

でも、問題は「その20年の間ずっと右肩上がりで増え続けるわけではない」ということなんですよね。
「〇〇ショック」と呼ばれるような市場の暴落が起きれば、一時的に資産がドカンと減ってしまう時期が必ずあります。もし、上の子が高校に入学して「さあ、塾代にお金がかかるぞ」というまさにそのタイミングで、暴落が起きたら……?
「10年後にはまた値上がりするから待って!」なんて、子どもの成長は待ってくれません。

使う時期が近いお金まで株式にしない

この恐怖をリアルに想像したとき、私は「使う時期が決まっているお金」や「近いうちに必要になるお金」まで、価格が変動する株式や投資信託にしてはいけないんだ、と痛感しました。

来年の車検代、再来年の七五三の費用、数年後の入学準備金……。
こうした「数年以内に確実に使うお金」は、どんなに「投資で増やしたい!」と思っても、絶対に減ってはいけないお金です。これを株にしてしまうと、相場が下がるたびに「車検代が足りなくなる!」と寿命が縮む思いをすることになります。
株式はあくまで「10年以上先まで絶対に手をつけない、じっくり育てるお金」だけに限定する。これが、私の心と家計の平穏を取り戻すための絶対ルールになりました。

資産を守る基本は「役割を分けること」

すぐ使うお金

極端な失敗を繰り返して、ようやく私がたどり着いたのが「お金を色分けして、それぞれに役割を与える」というシンプルな家計管理です。

まず一番大事なのが、「すぐ使うお金」。
これは、毎日の食費や光熱費などの「生活費」と、病気やケガ、家電の故障、突然の減給などに備える「生活防衛資金」です。
このお金の役割は「絶対に減らないこと」と「必要なときにすぐ引き出せること」。だから、インフレで多少価値が目減りするリスクがあったとしても、ここは迷わず「現金(銀行預金)」の出番です。
わが家では「最低限、生活費の半年分くらいは絶対に現金でキープする!」と決めてから、急な出費にも「あ、現金があるから大丈夫」とドーンと構えられるようになりました。

長期で育てるお金

次に用意するのが、「長期で育てるお金」です。
これは、まだ4歳と7歳の息子たちが将来大学に行くときの費用や、私たち夫婦の老後資金など、「10年以上は確実に使わないお金」のこと。
すぐには使わないからこそ、日々の価格変動(一時的な値下がり)には目をつぶり、将来のインフレに負けないように「株式」や「投資信託」などの力を借りて、時間をかけてゆっくり育てていきます。

ここを「すぐ使うお金(現金)」と完全に切り離したことで、スマホの証券アプリを毎日チェックする癖がピタッと直りました。「これは10年後のお金だから、今下がっていても関係ないや」と、ようやく心から思えるようになったんです。

値動きを分散するためのお金

そして、もうひとつ知っておきたいのが「値動きを分散するためのお金」という役割です。
実は、資産防衛について調べていくうちに、世の中には「現金」でも「株式」でもない、ちょっと変わった性質を持つ資産があることを知りました。

株式は経済が成長しているときは強いけれど、世界的な危機や不景気には一気に値下がりする弱点があります。一方の現金は、インフレに弱い。
じゃあ、株が下がったり、お金の価値が下がったりしたときに、逆に価値が上がりやすかったり、私たちの資産全体が大きく沈むのを防いでくれる「クッション」のような役割をしてくれるものはないの?
……実は、そんな「守りのポジション」として古くから選ばれてきたのが「金(ゴールド)」などの実物資産なんです。

「分散投資」は商品をたくさん買うことではない

似た資産を増やすだけでは分散にならないこともある

「お金の役割を分ける大切さは分かった! じゃあ、投資信託を5つくらい買っておけば安心だよね」
……と、またもや早合点してしまった私。当時の私のスマホ画面には、A社の米国株ファンド、B社の先進国ファンド、C社のIT系ファンド……と、いくつもの商品が並んでいました。
「よしよし、これでしっかり分散できてるぞ!」とドヤ顔をしていたのですが、ある日、アメリカの株価が大きく下がったニュースが流れた瞬間、持っている5つのファンドが綺麗にすべて真っ赤(マイナス)になってしまったんです。

キッチンで「ええーっ!? 全部下がってるじゃん!」と思わず叫びましたよ。
よくよく調べてみると、私が買っていたのは「名前が違うだけで、中身はほとんど同じアメリカの株式」ばかりでした。これって、子どもに「服を分散して買っておこう」と言いながら、赤、青、黄色と色違いの半袖Tシャツばかりを10枚買っているのと同じ状態だったんです。冬が来たら全滅ですよね……。

値動きの異なる資産を組み合わせる

本当の意味での「分散投資」って、ただ商品の数を増やすことじゃなかったんです。大切なのは「違う動きをするものを組み合わせること」。

たとえば、雨の日に売れる「傘」と、晴れの日に売れる「サングラス」。両方を持っていれば、天気がどう転んでもどちらかは売れて助かりますよね。
投資も同じで、景気が良くて株が上がっているときは株に頑張ってもらい、逆に世の中が不安定になって株が下がったときには、別の動きをする資産(現金や、後でお話しする金など)に下支えしてもらう。
「全部が一緒に上がらなくてもいいから、全部が一緒に下がるのだけは防ぐ」。これが、家族のお金を守るための賢い分散の考え方なんだと、身をもって(そして少し損をして)学びました。

資産・地域・時間を分けるという考え方

私が失敗から学んだ分散には、大きく分けて3つのポイントがあります。

1つ目は「資産」を分けること。現金、株式、そしてこの後お話しする金などの実物資産。性質の違うものを組み合わせます。
2つ目は「地域」を分けること。日本国内だけに集中せず、世界中に散りばめることで、どこかの国が不景気になってもカバーできるようにします。
3つ目は「時間」を分けること。これがズボラな私には一番効果的でした! まとまったお金で「今が買い時かも!」と一気に買わず、毎月少しずつコツコツと買い続ける。こうすれば、高いときにたくさん買ってしまう失敗を防げます。

この「資産・地域・時間を分ける」という基本を知ってからは、「あの株が上がるらしいよ!」という怪しい噂に振り回されることがなくなり、心の平穏がグッと増しました。

金が「資産防衛」で語られるのはなぜ?

株式や預金とは違う性質を持つ

「値動きの違うものを組み合わせるのが大事」と知った私が、次に気になったのが「金(ゴールド)」でした。
昔の私は、「金なんてお金持ちが買うピカピカの延べ棒でしょ? うちみたいな一般家庭には関係ないわ」と思っていました。でも、資産を守る方法を勉強していくうちに、金がなぜ昔から「最強の守りの資産」と呼ばれているのか、その理由がストンと腑に落ちたんです。

現金は「インフレ(物価上昇)」に弱く、価値が目減りしてしまうリスクがありましたよね。一方、株式は「経済ショック」のときに一気に半値になるようなリスクを持っています。
これに対して、金は地球上に限りがある「実物」です。会社が倒産したらただの紙切れになってしまう株と違って、金そのものに価値があるから「価値がゼロになることはない」という、ものすごい安心感があるんです。

インフレや市場不安の局面で注目されやすい

しかも、金が一番実力を発揮するのは「世の中がパニックになっているとき」なんです。
物価がどんどん上がってお金の価値が下がるときや、戦争や不景気で「株を持っていたら危ないかも!」とみんなが不安になったとき。そんなとき、世界中の人が「やっぱり形あるものが一番安心だ!」と金を買おうとするため、金の価値は上がりやすくなります。

まさに、株や現金がピンチのときに助けてくれる「スーパーサブ」のような存在。
「株価が暴落して子どもの教育費が危ない!」という恐怖を和らげてくれる、家計のクッションになってくれるのが金なんだと知って、私は「金って単なるアクセサリーじゃないんだな」と見る目がすっかり変わりました。

金にも価格変動があり、万能ではない

ただし! ここで昔の私なら「じゃあ、現金と株を全部売って、金に変えれば完璧じゃん!」と暴走するところですが、皆さんはちょっと待ってくださいね。

金は確かに「守り」には強いですが、万能ではありません。
株のように持っているだけで配当金(お小遣い)を生み出してくれるわけではないですし、世界中の取引で値段が決まるので、毎日価格は上がったり下がったりします。
サッカーで例えるなら、金は優秀な「ゴールキーパー」や「ディフェンダー」です。ディフェンダーだけでチームを組んでも試合には勝てない(資産は大きく育たない)ですよね。

だからこそ、日々の生活を守る「現金」、将来に向けて攻める「株式」、そして万が一の暴落から家族の資産をガッチリ守る「金」。この役割の違う選手たちを、自分の家族の状況に合わせてうまく配置していくのが、「がんばらずに守る」最大のコツなんです。

銀は金と同じではない

銀には貴金属と工業用資源の両面がある

「なるほど、万が一の暴落に備えるなら金が強いんだ! でも金って1グラムの値段が高いし……おっ、銀(シルバー)ならすごく安い! 金と同じキラキラした貴金属だし、銀をたくさん買っておけばいいんじゃない?」

金のすごさを知った後、当時の私はまたしても短絡的な思考を発揮し、あやうく銀に全振りしそうになりました。本当に、極端から極端へ走る癖はどうにかしたいものです……。
でも、調べるうちに「金と銀は全くの別物」だということが分かって、冷や汗をかきました。

確かに銀もアクセサリーなどに使われる美しい貴金属ですが、実は銀の需要の半分以上は「工業用」なんです。太陽光パネルやスマートフォンの電子部品など、世の中のモノづくりに欠かせない資源なんですね。
これが何を意味するか分かりますか?

金より値動きが大きくなることもある

もし、世界中で不景気になってモノが売れなくなり、工場がストップしたら……。
そうです、工業用の需要がガクッと減ってしまうため、銀の価格も一緒に大きく下がってしまう可能性が高いんです。

株価が暴落するような不景気のとき、みんなが「安全な逃げ場所」として買うから値上がりしやすい「金」とは、全く逆の動きをするかもしれない。「守り」のつもりで買ったのに、株と一緒に下がってしまったら、何のために買ったのか分かりませんよね。
しかも、銀は金に比べて世の中にある量が少ないため、一部の投資家が買ったり売ったりするだけで、価格がジェットコースターのように激しく上下しやすいという特徴もあります。

「守りの資産」と一括りにしない

「金も銀も同じ貴金属だから、どっちも安全資産でしょ?」と一括りにするのは、本当に危険だと知りました。
もちろん、銀にも投資先としての魅力はあります。でも、「家族のお金を減らさないように守る」という目的で持つなら、その性質の違いをしっかり理解しておかないと、かつての私のように大失敗の入り口に立つことになります。

「金と銀の違いについてもっと詳しく知りたい」「具体的な資産防衛の方法を勉強してみたい」という方は、ぜひこちらの「金・銀を含めた資産防衛の基本まとめ」の記事も覗いてみてくださいね。私が夜な夜な調べて頭を抱えた違いを、もっと分かりやすく整理しています。

資産を守る前に、まず生活のお金を確保する

投資より先に当面使うお金を確保する

さて、お金を「すぐ使う(現金)」「長期で育てる(株式)」「守る(金など)」に分ける大切さをお話ししてきましたが、ここでひとつ、昔の私がやらかした最も痛い失敗をお話しさせてください。

「分散の黄金ルールは分かった! よし、今月のボーナスは現金・株・金にきっちり分けて全額投資だ!」と意気込んで実行した翌月のこと。
すっかり忘れていたんです。長男のランドセル購入費と、次男の幼稚園の年間教材費の引き落としが重なる月だったことを……。

手元の銀行口座はスッカラカン。「ヤバい、クレジットカードの引き落としに間に合わない!」と青ざめ、結局、買ったばかりの投資信託を泣く泣く解約するハメになりました。しかも、運悪く相場が少し下がっていたタイミングだったので、しっかり損をしてしまうという悲劇のおまけ付き。
もう、家計を守るどころか自分で破壊していますよね……。

近いうちに使う予定のお金は無理に投資しない

どんなに素晴らしい資産防衛の知識をつけても、足元の生活がぐらついていたら全く意味がありません。
投資や資産形成を考える前に、絶対に、何がなんでも優先すべきは「当面の生活費」と「近いうちに使うことが分かっているお金(車検、学費、家電の買い替えなど)」、そして「いざという時の生活防衛資金」を、安全な現金でしっかり手元に確保することです。

これができていない状態で投資をすると、心に全く余裕が持てなくなります。少し株価が下がっただけで「来月の支払いができなくなるかも!」とパニックになり、また家族にイライラをぶつけてしまう。そんなの、誰も幸せになりませんよね。

余裕資金で資産形成を考える

「でも、生活費を確保したら、投資に回すお金なんて全然残らないよ……」
当時の私もそう思っていました。でも、そこで焦って無理な投資をするのではなく、まずは「家計のスリム化」から始めるのが大正解だったんです。

使っていないサブスクの解約、スマホ代の見直し、何となく払っていた保険の整理。この「固定費」を見直すだけで、毎月少しずつ「投資に回せる余裕資金」を生み出すことができました。
(ちなみに、わが家の固定費をガッツリ削ったリアルな格闘記は「家計・固定費の見直し」の記事にまとめているので、まだ手をつけていない方は絶対にお金を生み出せるはずです!)

投資は、あくまで「最悪ゼロになっても、明日からのご飯には困らないお金(余裕資金)」でやるからこそ、スマホの画面に釘付けにならず、「ほったらかし」で心穏やかに続けられるんだと、痛い授業料を払って学びました。

初心者は「何を買うか」より「何のために持つか」から考える

お金を3つの役割に分けてみる

これまでの私の数々の失敗談をお読みいただいて、いかがだったでしょうか。「あー、私も同じことやりかけてたかも!」と苦笑いしてくださる方がいたら、かつての私と一緒に反省会をしましょう(笑)。

投資の勉強を始めると、ついつい「S&P500がいいの? オルカン? それとも金を買うべき?」と、「何を買うか(商品選び)」ばかりに目が行ってしまいます。
でも、本当に大切なのは商品選びの前に「このお金は、何のために持つのか」を明確にすること。これが抜けていると、私のように「生活費まで投資に突っ込んでパニックになる」という悲劇が起きます。

  • すぐ使うお金(現金): 毎日の生活費と、いざという時の生活防衛資金。インフレには弱いが、絶対に額面が減らず、ピンチを救ってくれる。
  • 長期で育てるお金(株式など): 10年以上先に使う教育費や老後資金。値下がりリスクはあるが、時間を味方につけて大きく育つ可能性がある。
  • 値動きを分散するためのお金(金など): 株価の暴落やインフレなど、世の中の「まさか」の事態に備えるクッション。資産全体が沈むのを防ぐ。

この3つの役割を、それぞれの家庭の事情に合わせてどう配分していくかが、資産防衛のすべてと言っても過言ではありません。

自分がどこまで値下がりに耐えられるか考える

役割を分けると同時に大事なのが、「自分自身の心の強さ(リスク許容度)」を知ることです。

私は「長期投資だから大丈夫!」と強がって多めに投資信託を買ったものの、日々の値動きに耐えられず、数千円下がっただけで夕飯のおかずを減らすほど心が削られました。
どんなに「この配分が正解」と本に書いてあっても、夜も眠れなくなったり、スマホばかり見て家族にイライラしてしまうようなら、それはその人にとって「リスクを取りすぎ(攻めすぎ)」なんです。

「もし今持っている株が一時的に半分になったら、私は平常心でいられるかな?」
この質問を自分に投げかけてみてください。「絶対に無理! 耐えられない!」と思うなら、それがあなたの正直な心です。無理して投資を増やすのではなく、「減らない現金」や「守りの資産」の割合を多めにして、自分が心穏やかに過ごせるバランスを探すのが正解です。

他人のポートフォリオをそのまま真似しない

SNSで「私の資産配分(ポートフォリオ)大公開!」という投稿を見ると、「この人みたいにやればお金持ちになれるんだ!」と真似したくなりますよね。昔の私は、それをスクショしてそっくりそのまま真似しようとしていました。

でも、考えてみてください。
その人は、共働きで毎月カツカツのわが家とは違い、実家暮らしの独身で毎月10万円貯金できる人かもしれません。はたまた、すでに数千万円の資産があって、多少損をしても痛くも痒くもない人かもしれません。
家族構成も、毎月の収入も、持っている貯金も、値下がりに耐えられるメンタルも、すべて違う「他人」の真似をしても、わが家にとっての正解にはならないんです。

大切なのは、「私(わが家)」がどう生きたいか。いつ、いくらのお金が必要で、どれくらいならドキドキせずにいられるのか。自分たちの暮らしを中心に置いて考えることが、「がんばらずにちゃんと暮らす」ためのお金との付き合い方です。

まずは自分の資産が何に偏っているか確認してみよう

現金はいくらあるか

「増やすこと」より「家計を大きく崩さずに守ること」の大切さをお伝えしてきましたが、記事を読み終えた後、ぜひ皆さんにやってみてほしいことがあります。
それは、「今、わが家の資産はどうなっているか」を紙に書き出してみることです。

まずは「現金(銀行預金など)」。
生活費の口座、貯蓄用の口座、子ども名義の口座など、家にある現金をすべて足してみてください。
そのうえで、「このうち、毎月の生活費として使うのはいくら?」「何かあったときのために絶対に手をつけない生活防衛資金はいくら?」と、現金の役割を確認します。これがしっかり確保できていると分かるだけで、毎日の漠然とした不安はかなり消えるはずです。

株式・投資信託はいくらあるか

次に、NISAやiDeCoなどで持っている「株式や投資信託」がいくらあるかを確認します。
もしかすると、かつての私のように「あれ? 意外と投資に回しすぎてるかも……」と気づくかもしれませんし、逆に「あれ? 全然現金しかないから、これだと将来インフレになったときに価値が下がっちゃうかも」と気づくかもしれません。

現金が多すぎるからダメ、投資が少なすぎるからダメ、ということは全くありません。大事なのは「今、自分の資産が何に偏っているのか(どんなリスクを抱えているのか)」を、自分自身で客観的に知ることです。

それぞれ何のために持っているか考える

資産の偏りを確認できたら、それぞれの資産が「何のために持っているお金なのか」をあらためて考えてみてください。
「この預金は、再来年の車検と長男の塾代」「このNISAの投資信託は、私が60歳になったときの老後資金」というように、お金に「名札」をつけてあげるイメージです。

名札をつけて役割を分けると、「一番値上がりする最強の資産を当てなきゃ!」という呪縛からスッと解放されます。
生活に必要なお金をしっかり守りながら、将来への種まき(投資)をしつつ、万が一の暴落にはクッション(金などの守りの資産)を用意する。この「それぞれ違う役割を持つお金のチーム」を作ることができれば、世の中がどうなっても家計が大きく崩れることはありません。

「なるほど、現金の弱点と株の弱点は分かった。じゃあ、暴落やインフレのときに家計のクッションになってくれる『金』や『銀』などの資産防衛について、もう少し具体的に勉強してみたい!」
そんな風に思ってくださった方は、ぜひこちらの「金・銀を含めた資産防衛の基本まとめ」の記事も覗いてみてくださいね。昔の私が頭から煙を出して調べた「守りの資産」の基本を、分かりやすくまとめています。

毎日忙しくて、お金のことばかり考えていられない私たちだからこそ。
「がんばらずに、でもちゃんと家族のお金を守る」仕組みを、少しずつ一緒に作っていきましょう!

-お金を増やす(資産運用の基本)